テレビ『世界一受けたい授業』で強迫性障害が少し取り上げられた

2017年10月28日(土)に放送された日本テレビ『世界一受けたい授業 子どもの脳が変形する!?危険な子育て』で、強迫性障害のことが少し取り上げられました。

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『世界一受けたい授業』の内容

急増する若者の健康異常というコーナーです。

「特に汚れているわけでもないのに手を洗わないと気が済まない若者が増えている」「自分はただの綺麗好きだと思っている人も多い」という、不潔恐怖の例から始まりました。

強迫神経症とは「不安な考えが過剰に浮かんできて抑えられない。そんな不安を打ち消そうと同じ行動を繰り返す」病気だということ。

「家の施錠や電気のスイッチを何度も確認する。消耗品を過剰に購入」などの症状もあると紹介されました。

そして、「解決法は不安の原因を取り除くこと」「対人関係などの悩みを改善したところ強迫神経症が軽減された例が報告されています」としめられました。

『世界一受けたい授業』の強迫性障害の取り上げ方について言いたいこと

ほんの2~3分ほどでしたので、さわりだけなのは仕方がないと思います。しかし、突っ込みたい点が3つありました。

1つ目は、強迫神経症という呼び方が古いこと。今は強迫性障害と呼ばれていて、数年前からは新しく強迫症という名称も提唱されています。

厚生労働省やNHKのサイトでも「強迫性障害」という名称を使っているのに、「強迫神経症」は使ってほしくないなと思いました。

旧称を使うと、テレビで強迫性障害を知った人がインターネットなどで情報を集めるときに、新しい情報にたどり着きにくくなる恐れがあります。

2つ目は、不潔恐怖以外の症状が「鍵や電気のスイッチの確認」「消耗品を過剰に購入」だったこと。

若者の健康異常というテーマでありながら、主婦のような症状じゃないですか?

若者向けだったら、持ち物の確認や文字が読めなくなる、加害恐怖、数独恐怖、縁起恐怖といった、学校生活に支障が出たり人に相談しづらいような症状がいろいろとあることを伝えて欲しかったです。

3つ目は、解決法が「不安の原因を取り除くこと」で終わっていたことです。

原因が明確なストレスの場合は、それで軽減することもあるでしょう。

でも、強迫性障害は遺伝性もありますし、発達障害の二次障害としてなる場合もあります。

また、発病のきっかけがストレスであっても、強迫行為が習慣づいてしまうと、ストレスが解消されたあとでも症状が残り続けることもあります。

強迫性障害の治療法には薬物療法と曝露反応妨害法があることを、しっかりと伝えて欲しかったです。

若者に強迫性障害は増えているのか?

若者に強迫性障害が増えているというデータはあるのでしょうか。たしかに私も、強迫性障害の患者は将来的に増えるだろうとは思っていました。

強迫性障害は不安が強くなる病気です。不安は経験が少ないと大きくなります。

少子化で親以外の大人と触れ合う機会が減ったり、便利な世の中になり五感を使う体験が減っていく中で、不安が強い子供が増えるのは当然でしょう。

とはいえ、強迫性障害で苦しむ人が増えて欲しくはありませんから、実際に増えているのは残念です。

強迫性障害という病気を広く知っていただき、日常生活に支障が出る前の段階で、本人や周囲の人が兆候に気がついて治せるようになって欲しいです。

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