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『神経衰弱と強迫観念の根治法』の感想。強迫性障害を森田療法で治すための本

      2018/02/06


『神経衰弱と強迫観念の根治法』を読みました。

強迫性障害の治療法の一つである森田療法を作られた医師・森田正馬(もりたまさたけ)先生が書いた本です。森田先生は、ご自身も神経質(現代の不安障害)を患い、それを治した人です。

森田療法は強迫性障害になったときもネットで調べたのですが、もってまわった言い回しや宗教じみた表現が多くて敬遠していました。

わかりやすく書いてくれているサイトを見つけて、あらためて興味を持ちました。
森田療法とは?不安障害との関連や具体的な治療法(入院・通院)「あるがまま」という考え方について解説!

詳しく知りたいならこちらのサイトが森田療法の本家?っぽいです。
神経症(不安障害)と森田療法~公益財団法人メンタルヘルス岡本記念財団

『神経衰弱と強迫観念の根治法』が最初に出版されたのは1926年ですから、文体が古く難しい単語も使われています。夏目漱石あたりが読めるならいけると思います。

『神経衰弱と強迫観念の根治法』の内容

創始者がみずから森田療法の核心を説く不朽の名著

神経質症はどのように起こるのか?さまざまな角度から神経質症や強迫観念を解き明かし、豊富な実例を交えながらその治療法を語る。森田療法を理解するための必読の書。

  • 神経衰弱とは何か
  • 神経質の本性
  • 神経質の症状
  • 健康と疾病
  • 職業と神経衰弱
  • 神経質の実例
  • 強迫観念とは何か
  • 強迫観念の性質
  • 思想の矛盾
  • 思想の矛盾と強迫観念
  • 強迫観念はつねに事実と反対になる
  • 強迫観念の治療法
  • 生の欲望と死の恐怖
  • 涜神恐怖と赤面恐怖患者―通信治療の例
  • 赤面恐怖症治癒の一例
  • 神経質治療の実例
  • 神経質療法による治療成績
  • 宇佐玄雄氏の「森田氏神経質療法による治療成績」

森田療法で言う神経質とは何か、どうやって治すのかというのが書かれた本です。

「病気ではない」「なりやすい性格がある」など、現代とは違う解釈もありますが、症状への向き合い方や治し方には参考になる部分が多いです。

症状への執着をやめる

神経質は病でないある感覚に執着してこれを病と信じ迷妄する病であるから、その執着を去りさえすればよい。(33ページより)

現在では強迫性障害は病気とされています。しかし、この言葉は一理あります。

病気になったことを悲観してばかりいると、眠れなくなったり食欲がなくなったりしますよね。最初は健康だった面まで具合が悪くなってしまうのです。

私は「強迫性障害だからあれもこれもできない」と病気にのっかって病人らしく過ごし、よけいに悪くなっていました。とうとう体の具合まで悪くなり、これではいけないと生活態度をあらためました。

強迫性障害に逃げ込まない。体は健康にたもつ。できることはやる。

そこからが治療のスタートでした。まあ、できない日も多かったのですが。

症状を受け入れる

これを自分の持ち前の素質であると観念すれば、近視であって近視の不便を思わず、頭痛があってその苦痛を感じない。(67ページより)

この言葉のように、自分の症状を受け入れることで改善したところもあります。

手洗いを何度もしてしまって辛かったのですが、どうせやってしまうのだから、そういうものだと考えるようにしました。

何度も洗いたくなるんだから、洗ってもくよくよしない!

手洗いを繰り返すたびに、いちいち「またやってしまった」「なんでやめられないんだろう」と、悩むのをやめたのです。

ただこれは、そこで落ち着いて治す気がなくなる危険もあるかな?無駄なことをしているのは変わらないので、可能性は低いと思いますが。

私の場合はあくまでも、治療する元気を蓄えるための方法。治したいという気持ちは変わりませんでした。

患者への痛烈な表現

神経質の患者の考察もありました。

ここで面白いことは、多病とか、お前の病よりも十倍も重いとかいうことである。<中略>二倍半とか五倍とか、計算していうのではない。

それは神経質の苦痛は主観的であり、絶対的であるから、差別はない、自分が一番苦しいのである。(32ページより)

客観的な視点を失ってしまうのは、いつの時代も変わらないのですね。

「十倍も重いとか…計算してない」など、たしかに!と笑ってしまいました。

数年間も不眠に悩む患者が、相当の活動もでき、身体は少しも衰弱するということなしに、このことには少しも満足の意を表さないで、その不眠ということのみ苦にする。(66ページより)

私も悪化時には、まるっきり病人のようになってしまった自分に「いや体は健康なはずじゃない?」と突っ込みました。

でもほんと、強迫性障害になったショックもあり、自分から病人らしく振舞ってしまっていたのですよ。

森田先生の時代は、治らない病気で命を落とす人も多かったです。体は健康なのに苦しいと訴える人たちには、贅沢を言うな!という気持ちがあったのかもしれません。

神経質の患者がよくこぼすことであるが、人が誰も自分に思いやりをしてくれぬ、自分を理解してくれる人がないという。(147ページより)

今でも精神障害の患者さんは、共感できる言葉ではないでしょうか。この時代だったらなおさら理解を得るのは難しかったでしょう。

強迫性障害は治療法も「治す気があれば治る」みたいなところがあるので難しいです。

ただ、私はこの言葉を言われたこともあるので…。

言いたくなることはありますが、経験しないとわからないのは病気に限らないし、言っても言われてもどうしようもない言葉だなと思っています。

それよりは「こうして欲しい」「これはやめて欲しい」という具体的な要望を話し合えるほうがいいですね。会話が成立しない相手に対して、言いたくなる言葉でもありますが。

強迫観念の治療法

要するに神経質もしくは強迫観念の治療法は、一方にはその恐怖または苦痛に対する態度と、一方にはその自己が本来に具有する欲望の自然の発動をうながして、苦痛と欲望との調和の心境を会得させ、自己の現在の境遇、降りかかる運命に対して、絶対服従の心境を会得させるところにある。(167ページ)

森田療法での強迫性障害の治療法は、強迫観念に対する意識を指導するとともに、本来のやるべきことをやるものです。

症状があるものとして受け入れて諦めるというのは、仏教の教えにも通じています。

「自己が本来に具有する欲望」というのは、人間が持っているはずの「より良く生きたい」という願いです。

森田療法では生の欲望が大きくなり過ぎると、それを失いたくないという死の恐怖が出て、不安が強くなるとしています。

森田療法にも曝露反応妨害法のような「恐怖突入」がある

「われわれの感覚及びこれに伴う情緒は、その快と不快とを問わず、ただそのままに正しく感じさせておくのも同理であるけれども、およそ感覚は、その刺激の持続によって次第に強さを減じ、感情はこれを放任すれば、時を経て自ら消滅するものであって、その結果は、禅語にいう「正受は不受」の境地ともいうことができ、また風のまにまに動く柳の枝に雪折れのないようなものである。(316ページより)

曝露反応妨害法で言われる「不安は時間がたてば下がる」と同じことが書かれていて驚きました。

森田療法のキーワードとして「あるがまま」という言葉があります。

私はそのイメージから、森田療法は不安も恐怖も「ただそのままに正しく感じさせておく」治療法だと思っていました。

調べたところ、思っていた意味と違いました。

あるがまま(自然服従)とは

あるがままというと、自然なとか、自然体でとか、そのままとか、いう意味に捉えがちですが、森田がいう「あるがまま」というのは、少し意味が異なります。

つまり、森田療法の「あるがまま」とは、気分や感情にとらわれず、今自分がやるべき事を実行していく、目的本意の姿勢を示しています。

神経症(不安障害)と森田療法~公益財団法人メンタルヘルス岡本記念財団より)

「あるがまま」というよりは「あるべきまま」ですね。

ここも加減が難しい部分です。「あるべきまま」を理想で描いてしまうと、「より良く生きたい」が強くなりすぎる。

まずは最低限、食べるために働くくらいでよしとするのが、森田療法の「作業」としてちょうどいいのではないかと思いました。

恐怖突入と曝露の違い

患者がもし雷鳴を恐れれば、耳を厳わないで、よくこれを聴かせるようにし、また電灯の下で眠ることのできないようなものには、ことさらに電灯を消さないようにして寝かせるとかするのである。これが神経質者に対する最も親切な対症療法というべきである。(316ページより)

森田療法の「恐怖突入」は、曝露とほぼ同じのようです。この恐怖突入をした人たちはどんな気持ちだったのか気になります。

この本では治療の実例の人が強迫性障害ではなかったので、作業への抵抗感は書かれていませんでした。

私が森田療法で疑問に思っていたのは、恐怖突入までいかなくても、作業をしろと言われてもどうやってやるのかということでした。

触れないものに触れと言われても、できないものは無理。私だったら気持ちの準備ができていなければフリーズしてしまうことでしょう。

曝露反応妨害法でも同じだと思われるかもしれませんが、曝露反応妨害法では事前にやる意味を学べます。

また、自分でできそうだと思える小さな課題からやることで、少しずつできるようになります。

『神経衰弱と強迫観念の根治法』の感想

文体は古いですが、思ったよりも難しくありませんでした。生き生きとした文章でざっくばらんな表現もあったりと、おもしろかったです。

森田療法と認知行動療法は共通点が多い治療法ですね。認知行動療法よりも行動療法かな?

私は症状にダイレクトに挑戦する認知行動療法のほうが好きですが、森田療法のほうがやりやすい人もいるでしょう。

いまはどちらの治療法でもお互いの治療法を含めて研究しているでしょうから、どちらを選んでも大差はないと思います。

一方を選ばなければならないわけではないので、両方の考え方を取り入れていけばいいのではないでしょうか。

悪化時の私のように一人暮らしで仕事も休んでいると、森田療法の「やるべきことをやる」が難しいかな?

森田療法がうまれた時代とは違い、便利な現代では「あるがまま」ではやるべきことが少ないです。

家事や勉強をせっせとがんばれば良いのですが、必要なこと以外ってモチベーションも上がりづらいのですよね。

認知行動療法は自分で課題を作るので、私には向いていました。

家事や仕事や勉強などやるべきことが多い人には、森田療法も良いかもしれません。

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