7月1日(土) 00:50〜01:20に放送されたTBSテレビ『NEWSな2人【潔癖症と言われて…キレイ好きじゃダメですか!?】』を観ました。
『NEWSな2人』は、NEWSの小山慶一郎さんと加藤シゲアキさんが激怒する若者たちのデモ隊と向き合うデモ・バラエティです。
デモ隊に扮した「潔癖症ではなくただのキレイ好き!」な人たちが「不衛生な環境や不潔な人が耐えられない!キレイ好きな人を変な目で見るの反対」という主張をかかげていました。
出演者
【MC】
小山慶一郎(NEWS)
加藤シゲアキ(NEWS)
【フロンティアリーダー】
池田美優(みちょぱ)
小峠英二(バイきんぐ)
小林由佳
キレイ好きな人が耐えられないこと
キレイ好きな人が「こんな環境が耐えられない」こととして、以下の10点があげられてました。
- つり革に掴まれない
- 外出先の便座に座れない
- ドアノブを触れない
- エレベーターのボタンを押せない
- 古着に抵抗がある
- 病院のスリッパが履けない
- 図書館の本に触れない
- 温水洗浄便座が使えない
- 他人が握ったおにぎりは食べない
- 他人の歯磨き粉を使えない
私がこの中で苦手なのは、つり革、古着、温水洗浄便座、他人の歯磨き粉です。
つり革はちょっと嫌だなと思いながらも掴まれます。古着と温水洗浄便座は強迫性障害になってからはまったくダメで、なる前は平気でした。
他人の歯磨き粉は…特に使う機会がないと思うんですが、たいていの人は嫌ではないでしょうか。
除菌ウェットシートでお店のテーブルや椅子を拭く
芸人・ねもよしさん(25歳)は、飲食店に行くと除菌ウェットシートでテーブルや椅子、スプーンを拭きます。持参した割り箸を使い、洗いづらそうな容器に入った調味料は使えず、水差しから注がれた水も飲みません。
カウンターのお寿司屋さんが無理で、「(職人さんが)どこを触ったか分からない手で握った寿司が食べられない」とのこと。
ねもよしさんは握っているところが見えない回転寿司なら良くて、見えなければ落ち着けるのだとか。加藤さんが「イメージしちゃうと嫌なんだ?」と言って、「そうですね」と答えていました。
そこまでして外食する必要はあるのでしょうか?
割り箸だけ持参して、スプーンはウェットティッシュで拭けば使えるのが不思議です。そもそも料理を作るにもお店の調理器具を使い、お店のお皿に盛られて出てくるわけですよね。
それに、お寿司屋さんはとても衛生観念が高い料理人です。それがだめで、普通の飲食店で出されるものは食べられるというのも不思議です。
キャバクラ嬢の女性も「(お寿司屋さんが)握ってる途中で顔掻いたりとか」と言っていましたが、そんなことをするお寿司屋さんはよほどの低レベルなはず。普通は髪や体はもちろん、余計な物にはいっさい触らないものです。
逆に回転寿司なんて床に落としたネタを使っていてもおかしくありません(笑)
みちょぱさんがねもよしさんに対して「めんどくせぇ」と言っていましたが、それよりも物を知らなすぎるというか、自分基準なんだなあと思いました。
人の吐いた空気が無理
キャバクラ嬢をしている城咲さん(26歳)は、「小峠さんみたいなおじさんが吐いた息とか(無理)」と。これはちょっとわかりますね。
ツバが飛んでくるのが嫌なので、常に長袖のスーツを着てお客さんから離れて座る。満員電車が嫌でお店から数分のマンションに住んでいる。帰宅したら全部服を着替えて洗濯機に入れる。
それなのに、歌舞伎町の空気は最上階に住んでいるから大丈夫だと言っていました。
加藤さんが「想像力が都合いいよね自分に」と突っ込んでいましたが、城咲さんはけっこう強迫性障害っぽかったです。
そのほかのキレイ好きな人たち
ここでちょっと箸休め的に、数人の苦手なものが紹介されました。
エチオピア人のソロモンさん
「エチオピアに帰るとお腹を壊す」。日本でも他人の箸が入るしゃぶしゃぶは苦手。
芸人・夢屋まさるさん(19歳)
ドアノブを開ける用のタオルを持ち歩く。母親もキレイ好きで遺伝。窓のサッシにウェットティッシュを詰めてホコリや菌が入ってこないようにしている。除菌しすぎてインフルエンザになる。
NEWS・加藤さん
外で着てきたジャケットは家の中に置けない。
水が無理
タレント・櫻田愛美さん(26歳)は、他人が入ったお風呂とかプールとか海がだめ。他人の家のお風呂が大の苦手だと言います。
マネージャーの家でお風呂に入るときの再現VTRでは、お風呂場の床に足が触れないようにビニール袋を履いて、さらに風呂椅子の上に乗って入っていました。人の家のバスマットも使えない。
自宅でもゴム靴を履いてシャワーを浴びるそうです。袋や靴の中に水が入らないのかな。
これも、本当に嫌なら他人の家のお風呂なんて入らなくても済むのではないかと思いました。
日常生活に支障が出ると強迫性障害の恐れ
精神科医・小林由佳さんは「キレイ好きが悪化すると強迫性障害に該当する場合がある」「(強迫性障害は)こんなにやる必要あるのかと思いながらもその行為をしないと気が済まない」とおっしゃっていました。
「日常生活が困難になるほどのキレイ好きは強迫性障害に該当する恐れがある」という文字が出て、ここからいよいよ強迫性障害の話です。
強迫性障害
- 強迫性障害とは、汚れることへの恐怖で手が荒れても1日に何十回も洗う
- お金や財布自体を不潔と思うなど、やりすぎと分かっていてもやめられない心の病
- さらに症状が悪化すると日常生活に様々な支障をきたすことになる
強迫性障害に悩む女性の生活に密着
芸人・岡田萌枝さん(29歳)は強迫性障害で、特にトイレがダメ。外のトイレにはあまり行けず、できるだけ水分を取らずに行かないようにしている。
中学生くらいから外のトイレ嫌だなと思っていて、のちに病院に行って強迫性障害だと確定したとのこと。
- 外から帰宅すると手洗い。ひどいときは肘あたりまで洗う
- スマホを除菌シートで拭き、スマホケースやメガネなど洗えるものは石鹸で洗う
- 多い時は1日50回以上手を洗う
- 目覚まし時計のセットができているかわからなくて何度も確認する
- 不安が大きくなり視覚から入る情報を認識できない
- コインロッカーの荷物や郵便ポストの郵便物を取り出すときに、出せたか認識できなくて何度も確認する
- 最高気温28℃でも寒くなるかもしれないと不安でコートを手放せない
岡田さんは「すごい論」としてコンビで活動していたのですが、強迫性障害によりネタが覚えられなくなって解散したそうです。
私は岡田さんのことを、強迫性障害なのに芸人さんをしているなんてすごいと思っていたので、コンビを解散するほど悪化されたことはとても残念でした。強迫性障害とうまく折り合いをつけているのかと思っていたのです。
「どんどん頭が働かなくなって、何も考えられないと怖くなった」と、涙ながらに語っていました。いまは行動療法や漢方薬を服用して治療しているそうです。
頭が働くなるのは私も同じだったので、すごくよくわかりました。強迫性障害になって私が自覚したのは、脳が働かなくなったことでした。
火が消えているガスコンロをいくら見つめても消えていると確信できない。なぜ確信できないのかがわからない。
脳がおかしくなってしまった、若年性認知症などになったのかもしれないと悩みました。
強迫性障害は良くなる病気なのか?
NEWSの加藤さんから「強迫性障害は良くなる病気ですよね?」という質問が出ました。
精神科医・小林さんは「脳の機能的な障害と言われている」と説明し、薬物療法と行動療法を合わせて治療していくと答えていました。
強迫性障害の発症の原因として「脳の伝達物質セロトニンの働きに異常が生じ汚れの認識などの情報伝達が行われない」と説明されました。
出演者の感想
池田美優(みちょぱ)
「気にしすぎるのも良くないって言っても本当は気にしたくない人もいると思う」。
加藤シゲアキの放送後記
「潔癖と言われている人たちは皆とても想像力が豊かでした。でもその想像力のせいで不自由になっていて縛られている。キレイ好きは良い事だと思います。しかし時には汚れる勇気を持ってもいいのでは?そうすればもっと強くなれるんじゃないかな。もっと自由になれるんじゃないかな」
NEWSな2人【潔癖症と言われて…キレイ好きじゃダメですか!?】の感想
キレイ好き・潔癖症はなじられる!?
気になったのは「まわりから潔癖症だとなじられることが多いがただのキレイ好き」だという言葉です。
潔癖症はなじられるということですよね。これはバラエティ番組で潔癖症の人をいじるようになってからだと思います。以前は潔癖症と言ってもあからさまに嫌われるものではなかったはず。
綺麗好きと潔癖症の違いはあると思いますし、この番組に出てきた人たちはやはり潔癖症と呼ぶほうがふさわしいと思いました。
風邪をひくキレイ好きは中途半端
綺麗好きな人は風邪をひくと言っていましたが、私は強迫性障害になってからは以前より病気になりませんでした。
ほかの不潔恐怖症の人も、症状がひどいときは風邪をひかなかったけれど、治し始めてから数年ぶりに風邪をひいたと言っていました。
風邪をひく人は、中途半端なんじゃないですかね?まあ、そのほうが強迫性障害までいかなくて良いと思いますが。
キレイ好きは意識を変える、強迫性障害は行動を変える
これだけの綺麗好き(潔癖症)の人たちと強迫性障害の違いは何か考えてみたのですが。
綺麗好きの人たちは、行き詰ったときに自分に都合よく考えているんですよね。飲食店のテーブルは汚いけど拭けばOK、自分が見ていないところで料理されたものは汚くないと。
社会生活を送るうえで支障になりそうなときには、そうして折り合いをつけているのだと思います。
強迫性障害の私の場合、行き詰ったときでもダメなものはダメ!で、社会と交わることを拒否していました。ダメなものと関わるくらいなら社会と断絶したほうがましでした。
そうすると当然、日常生活に支障をきたして強迫性障害になってしまうんだなあと…。妥協できなかったと言いましょうか。
キレイ好きと主張する人たちを見て、なんだその半端な行動は!と思いましたが、それが健全なのでしょうね。
それに私にも矛盾する行動はありましたし、線引きをどこにするかの違いだけかもしれません。
30分のバラエティ番組ということであまり期待しないで観たのですが、思いがけずに強迫性障害のこともしっかりと取り上げてもらえていてありがたかったです。
特に、「認識できなくて何度も確認する」と言ってもらえたのが嬉しかったです。強迫性障害というと「不安で確認する」と紹介されることが多く、それだと「ただ不安なだけでしょう?」とわかってもらえません。
そうではなくて、脳が認識できないから不安になるんですよね。私が悩まされた手洗いも同じで、「手を洗った」という実感が持てませんでした。
加藤さんの放送後記の「時には汚れる勇気を持ってもいいのでは?」という言葉も、強迫性障害を治す姿勢として的を射ていて良かったです。