『世界一隅々まで書いた認知行動療法・認知再構成法の本』を読みました。著者は公認心理師・臨床心理士の伊藤絵美先生。
認知行動療法の本を多く出版し、所長をつとめる洗足ストレスコーピング・サポートオフィスでは専門家向けワークショップも開催されています。
本書はワークショップを書籍化したものとのこと。
ほぼ専門家向けですが、認知再構成法について詳しく知りたかったので読みました。
『世界一隅々まで書いた認知行動療法・認知再構成法の本』の内容
認知行動療法のなかでもパワフルに使える認知再構成法のことを,スミからスミまで,細かい裏側まで,非常に詳しく解説したのがこの本です。
執筆者は,いま一番人気のカウンセリング・ルームの一つ,洗足ストレスコーピング・サポートオフィスの主宰で,認知行動療法のスペシャリスト伊藤絵美先生です。
本書は,1日にわたるワークショップをもとに書籍化したもので,ちゃんと学べる楽しく学べるをモットーに,深い講義をシンプルにまとめてもらいました。臨床家なら必携の一冊です。
今日から使えるワークシートつき。
180ページとボリューム的には一般的、横書きで句読点がカンマ(,)、文字もやや小さめ。
専門用語も使われていて読みやすくはないけれど、読書が好きなら難読ではないかな?
やや難しめといったところでしょうか。
私は内容に惹きこまれたので、ぐいぐい読めました。
認知再構成法の詳しいやり方がわかる
本書のテーマになっている認知再構成法は、一般的にはコラム法と呼ばれています。
コラム法は認知行動療法の代表的な手法で、出来事に対して感情や思考を書き出し、それについて検討していくものです。
悩みや病気のタネになるような思考や行動を、ほかの考え方もあるんじゃないかと探していくやつですね。
自分でできるワークブック本もたくさん出ていて、私もやりました。
が、やはり難しいのは「いい感じの考え方」、認知行動療法でいう「適応的な認知」をひねり出すところなんですよ。
本書はそこの部分が詳しく掘り下げられていて、参考になりました。
強迫性障害への認知再構成法の使い方
強迫性障害に使われる曝露反応妨害法は、とにかく行動!考えずに行動あるのみ!みたいな印象ですが、認知再構成法も使われます。
本書では曝露療法との併用について、「認知再構成法を導入するにあたっての注意点」で触れられていました。
行動を変える必要がある患者が「まずは認知を整えたい」と希望する場合、行動したくないための回避にならないか注意する必要がある。
ただ、行動変容や曝露療法の下支えのために、時間をかけすぎずに認知再構成法を行うのはありだそうです。
『世界一隅々まで書いた認知行動療法・認知再構成法の本』の感想
うわぁーあぁー……。
というように、読後はただただ感嘆でした。
あー、ええー、はいはい、うーん、ほおー…… みたいな。
これではあんまりなので、自動思考を追ってみますと。
- あー、伊藤先生はこんなやり方をしているのか
- ええー、オリジナルのワークシートを作られたんだ
- はいはい、これはやったことある
- うーん、うまくできるかな
- ほおー、本書のやり方を使えばできるかもしれない
という感じですね。
感嘆しか出ないと思ったけれど、ちゃんと思考がありました。
さらに整理すると、認知再構成法のやり方がきめ細かくわかり、アイデア出しや検討でつまづきがちなのを解消できそうだと思いました。
ワークショップを書籍化した本だから当たり前ですが、講義を1日受けたように頭の中に知識を詰め込んだ感覚になり、疲れました(笑)
読む本というよりは、参考書として持っておいて見返す本ですね。
認知再構成法のやり方を深めたい人や、自分でやってみて適応的な考え方をうまく出せなかった人は読んでみてください。