ChatGPTはうつ病や不安の治療に使われる認知行動療法の「コラム法」はできるのか試してみました。
テンプレートどおりに進めるにはコラム法のやり方を知らないと難しかったですが、サポートとして使うには十分でした。
前回の記事はこちら。
ChatGPTはカウンセリングに使えるか試してみた。メリット・デメリットや感想
ChatGPTは認知行動療法をサポートできる
まず、ChatGPTに認知行動療法のコラム法ができるのか質問しました。
私「ChatGPTは認知行動療法のコラム法ができますか?」
ChatGPT:
はい、できます。認知行動療法のコラム法は、思考や感情、行動といった要素を分析することで、不適切な思考パターンを発見し、それを改善することで精神的な問題に対処する方法です。ChatGPTは、思考の分析や反証、新しい思考の提案などのプロセスをサポートすることができます。ただし、ChatGPTは専門の医療従事者ではないため、重度の精神的な問題を抱える場合は専門家のサポートを受けることが重要です。
できるのかい!
本当か?と思ったので、もう1つ質問しました。
私「ChatGPTは認知行動療法をもとにした回答をしますか?」
ChatGPT:
ChatGPTは、認知行動療法を含む様々な分野の情報や知識を学習していますが、完全に認知行動療法の専門家ではありません。そのため、認知行動療法の専門家の代替として使用することはできません。認知行動療法に関する個別の問題や疑問がある場合は、専門家に相談することをお勧めします。
まあそうですよね。
専門家ではないけれど、サポートはできるっぽいです。
ChatGPTで認知行動療法を試してみた
わかりやすくするために、前回と同じ「仕事がうまくいかない」という悩みを相談しました。
以下の5コラムの流れになるように期待しました。
- できごと
- 思考
- 感情
- 反証
- 新しい思考
※内容を一部省略し整えています。
私「仕事がうまくいかないです。認知行動療法のコラム法をするために私に質問をしてください。質問は1回につき1つにしてください」
ChatGPT:
もちろんです。まずはじめの質問です。現在の状況について教えてください 。
私「仕事がうまくいかないです」
ChatGPT:
具体的にどのような問題が起きているのでしょうか?どのような状況で、どのようなことがうまくいかないと感じていますか?
私「仕事がなかなか終わらないです。ひどく疲れます」
ChatGPT:
その問題がどのようにあなたに影響を与えているか、具体的に教えてください。また、この問題によってどのような気持ちになりますか?
私「落ち込んで元気が出ません。悲しいです」
ChatGPT:
現在の状況に対して、どのような対処方法を試みたことがありますか?また、それらの方法は効果がありましたか?
私「仕事をスムーズに終わらせようとしていますが、うまくいきませんでした」
ChatGPT:
現在、自分が抱えている問題や困難について、自分自身にどのような自己評価や認識がありますか?また、その自己評価や認識が問題解決にどのような影響を与えていると感じていますか?
私「私の能力が低いと思います」
ChatGPT:
現在の状況において、貴方自身に対して否定的な自己評価を抱くことが影響を与えている可能性があります。そこで、もし貴方が自分自身を客観的に評価することができるとしたら、貴方自身の長所や強みは何だと思いますか?
私「誠実に仕事をしているつもりです。仕事は終わらせています」
ChatGPT:
誠実さや責任感は、良い職業人として重要な品質の一つです。それらの品質を持っていることは、高く評価されるべきです。
次の質問です。問題解決のために、何か実践的な行動を試みたことはありますか?例えば、効率的なタスク管理、時間管理、コミュニケーションスキルの改善、専門的な知識やスキルの向上などを考えてみてください。
私「試したけれどうまくいきませんでした。仕事が多すぎます」
ChatGPT:
仕事が多すぎると感じる場合は、仕事を優先順位に従って整理し、効率的にタスクを処理することが重要です。
そこで、まずは…<具体例・略>
私「ストレスを軽くする方法はありますか?」
ChatGPT:
ありがとうございます。ストレスを軽減するために、以下のような方法があります。
深呼吸や瞑想など…<具体例・略>
これらの方法を試してみて、ストレスを軽減することができるかもしれません。
私「私の能力が低いと思うのは、認知の歪みで言うとどれになるでしょう?」
ChatGPT:
「私の能力が低いと思う」という考え方は、認知の歪みの一つである「自己効力感の低下」に関連しています。自己効力感とは、自分自身があることを達成できるという信念のことで、自己効力感が低下すると、自分自身の能力を過小評価してしまいがちになります。このように、認知の歪みは…<説明・略>
私「考え方を修正するには、どんな合理的思考がありますか?」
ChatGPT:
「私の能力が低いと思う」という考え方を修正するためには、次のような合理的思考を取り入れると良いでしょう。
- 現実的な事実に基づいた思考をする。
- ミスや失敗を恐れないようにする。
- 自分に優しく接する。
- 自分と他人を比較しない。
これらの合理的思考を意識して取り入れることで、「私の能力が低いと思う」という考え方を修正することができます。
私「とてもいいですね。ありがとうございます」
ChatGPT:
どういたしまして。これらの合理的思考を実践することで、自己効力感や自己肯定感を高めることができます。頑張ってください!
私「ここまでをコラム法のテンプレートに当てはめてください」
ChatGPT:
以下は、前回までのやり取りをコラム法のテンプレートに当てはめた例です。
【状況】
私は仕事でうまくいかないことがあり、自分の能力に自信を持てずに落ち込んでいました。
【感情】
私は落ち込みや悲しみを感じ、ストレスを抱えていました。
【思考】
「私の能力が低いため、仕事がうまくいかない」という思い込みを持っていました。これは認知の歪みの一つであり、現実を過小評価していたと言えます。
【修正】
この思い込みを修正するために、以下のような合理的思考を取り入れることにしました。
- 現実的な事実に基づいた思考をする。
- ミスや失敗を恐れないようにする。
- 自分に優しく接する。
- 自分と他人を比較しない。
これらの合理的思考を意識することで、自己効力感や自己肯定感を高め、ストレスを軽減することができました。
反証が思考とまとめられているし、「ストレスを軽減することができた」とは言っていないのに解決した風にされましたが(笑)、わりといい感じになりました。
合理的思考の提案では、思わず感心して褒めたくなりました。
ChatGPTで認知行動療法をするコツ
ChatGPTは問題解決を目的としているからか、すぐゴールに向かおうとしてしまいます。
まとめて質問してきたりアドバイスを長々と披露したり、進行を急ぐ傾向がありました。
自然な会話形式でコラム法をしてもらうには、以下の3つが必要でした。
- 悩みの内容または「悩んでいます」と書く。
- 「認知行動療法のコラム法をしたい」と書く。
- 「質問は1回につき1つ」と指定。
例:「悩んでいます。認知行動療法のコラム法をするために私に質問をしてください。質問は1回につき1つにしてください」
ChatGPTで認知行動療法するメリット
悩みの整理をしたり、感情の種類や認知の歪みの例を教えてくれます。
- 事実を整理できる
- 感情の例をあげてもらう
- 認知の歪みは何か訊く
- 合理的思考を教えてくれる
- 問題解決方法を教えてくれる
今回は悩みを明確にしましたが、だらだらと悩みを書いて要約してもらうこともできます。
自分のおかれている状況では一般的にどんな感情がわくのか、認知の歪みはどれに当てはまるかなども答えてくれます。
ChatGPTで認知行動療法するデメリット
こちらが認知行動療法のやり方を知っていないと、取りこぼしがあると感じました。
ChatGPTは反証のもとになる事実を探ったり、気持ちの変化を確認する面は弱いですね。感情と思考の区別も苦手かも?
ちょいちょい軌道修正して、もっとこの部分を聞いてほしいと伝える必要がありました。
失敗例として、最初に悩んでいると書かずに「認知行動療法のコラム法をしたい」と書くと、認知行動療法について話したいと解釈されました。
また、ステップ1から5まで提示して進めてもらうおうとしたときは、1つ目の質問をしたら2つ目!とサクサク進んでしまい、満足な対話ができませんでした。
指示を詳しくすれば解決できるかもしれません。
ChatGPTで認知行動療法をした感想
自分で認知行動療法をするときに「えー、わかんなーい」と行き詰まる部分を考えてくれるので、とても便利でした。
先回りしすぎる点もありますが、ねばれば付き合ってくれます。
認知行動療法を主体的にリードしてもらうのは難しいものの、サポートにはじゅうぶん使えました。
とはいえ、自分で答えを導き出すのも大切なので、頼りすぎないようにしたいです。
認知行動療法のおすすめ本まとめはこちら。
認知行動療法のおすすめ本と人気12冊の感想