お笑いコンビ「プラス・マイナス」の岩橋良昌さんがTwitterで強迫性障害と診断されたとつぶやいていました。
岩橋さんが強迫性障害ではないか?とネットで言われているのは目にしたことがあって、気になっていたんですよね。
診断を受けて病気の治療を始められたとのことでよかったです。
この発表の前は、岩橋さんはチック・トゥレット症ではないか?という声がありました。
チック・トゥレット症ではなく強迫性障害と診断されたのはどういうことなのか、素人なりに考えてみました。
岩橋さんのクセと強迫性障害の診断
岩橋さんは「やってはいけないことをやってしまうクセ」があるそうです。
鉛筆の芯を全部折ってしまう。解答用紙に違う名前を書く。解答用紙を紙飛行機にして窓から飛ばす。マークシート記入の“悪い例”を見たら、ずっと悪い例の塗り方で塗っていく…。ホンマに、ナンボでもあります。
「プラスマイナス」岩橋、クセへの憎しみを消した浜田雅功の一言
「ダウンタウン」の浜田(雅功)さんにも、強く、強く、背中を押していただきました。
<中略>
こんなにスゴイことはないですし、もちろん、しっかりと浜田さんのアドバイスを聞かないといけない。ここでふざけるなんて、ありえない。絶対に、まじめに聞くしかない。そういう考えが頭を駆けめぐり、気が付いたら、浜田さんの顔に自分の顔を突き付けて、舌を出して「べ~っ!!」とやってました。鼻がくっつくくらいの距離で、あっかんべーをやってしまったんです。
「プラスマイナス」岩橋、クセへの憎しみを消した浜田雅功の一言
強迫性障害と診断されたといっても、クセが強迫症状と判断されたのかどうかはわかりません。
ほかにも症状があるのかも。
が、クセが強迫からくるものなのかという疑問はあったでしょう。
やってはいけないことをやってしまうのは強迫性障害?
私は岩橋さんのクセはチック・トゥレット症や汚言症のようなものかと思っていました。
強迫性障害ではあまり聞いたことがない症状だったからです。
強迫性障害は以下のような病気です。
きわめて強い不安感や不快感(強迫観念)をもち、それを打ち消すための行為(強迫行為)を繰り返す。
強迫症 / 強迫性障害 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
でも、強迫性障害の症状にはとてもたくさんのバリエーションがあるんですよね。
有名なのは手洗いや洗浄が多い不潔恐怖や鍵の確認ですが、自分が決めた儀式のような行動をする、数や物の配置にこだわるなど人によってさまざまです。
「やってはいけないことをやってしまうクセ」が強迫性障害だとしたら、どう理解すればいいのか考えてみました。
「やってはいけない」に苦しむのは加害恐怖
「やってはいけない」だけに注目すると、強迫性障害の中の加害恐怖が思い当たります。
加害恐怖では自分は人に危害を加えてしまうのではないか?という考えが起こることがあります。
たとえば、人を刺してしまうのではないか?車で人を跳ねたんじゃないか?など。
やってはいけないことを「やってしまう」のではなく、やってしまうのではないかと「恐れる」症状です。
そんなことを考えるなんて危険人物だと思うかもしれません。
しかし実際は、患者は人を刺すのを恐れるあまり刃物を使えなくなったり、見るだけでも怖くなったりします。
もちろん人を刺すなんてできるわけがない。
危害を加えるのは患者がもっとも恐れていることなのです。逆に、すごく安全な人たちではないでしょうか。
なので診断のことを聞くまでは、岩橋さんのように「やってしまう」場合は加害恐怖ではない=強迫性障害ではないと私は思っていました。
「やってしまう」のは強迫行為
「やってしまう」のほうに注目すると、強迫性障害の強迫行為だと解釈すればしっくりきます。
「やってはいけないことが思い浮かぶ」が強迫観念で「やってしまう」が強迫行為。
患者は強迫行為をやりたくないと自覚しながらも、強迫観念に逆らえずにやってしまうのです。
強迫性障害は強迫行為への衝動を我慢できない病気とも言われます。
とはいえ、社会的・道徳的に反する行動をやってしまうことは少ないです。
でも、マナーや常識的な行動とくらべるとどうでしょう…。
私は外のトイレで人の3倍くらい手洗いをしています。迷惑だと思う人もいるでしょうし、掃除の人に邪魔にされたこともあります。
それでもやめられないのだから、やってはいけない強迫行為をやっているのかも?
チックがあるかと運動性タイプは大事
岩橋さんはチックじゃないとのことですが、チックと間違われやすい症状なので運動性タイプかもしれません。
強迫性障害において、チックになったことがあるかどうか(既往歴)と運動性タイプかどうかは治療法に関わるんですよね。
病院で治療を受けるなら押さえておきたいポイントです。
チックは、体の一部の速い動きや発声を、突発的かつ不規則に繰り返す状態です。<中略>
強迫性障害患者の中で、この既往や現病があれば、「チック関連」と特定します。後述しますが、チック関連であるかどうかで治療法が変わるため、判別することが非常に重要となります。
強迫性障害とは-QOL(生活の質)に影響する重大疾病
運動性(motoric) タイプ
観念や不安の増大に関わる認知的プロセスは明らかではなく、「まさにぴったり感(just right feeling)」を求めて繰り返し行為を行うタイプです。これは、生活のいかなる状況でも起こりうるもので、厳密に適用しなければならないルールに従って、駆り立てられる様に行われます。
自分にない症状は理解が難しいですが、シンプルに強迫観念と強迫行為として考えると同じ病気だと思えます。
強迫性障害は発症してから病院に行くまで平均7年かかると言われています。
岩橋さんの強迫性障害の改善と、引き続きのご活躍をお祈りいたします。
強迫性障害のいろいろな症状は『図解いちばんわかりやすい強迫性障害』に載っています。Amazonの試し読みの目次で見られます。