2018年7月に、千葉県柏市の女性が夫の実家から遺体で見つかった事件がありました。
容疑者である夫が元銀行員だったこと、遺体が発見された夫の実家に住む母親も事件に関与していると見られたことで話題になりました。
2019年5月23日に事件の初公判がありまして、被害者である妻が強迫性障害を患っていたとわかりました。
※引用中では実名を掲載したくないため被害者を○○さん、被告を□□被告、被告の母親を△△被告とします。
昨年三月、柏市の○○さん=当時(30)=が殺害され、茨城県取手市の夫の実家で遺体が見つかった事件で、殺人と死体遺棄の罪に問われた夫□□被告(37)と、殺人ほう助と死体遺棄の罪に問われた□□被告の母△△被告(64)の初公判が二十二日、千葉地裁であった。□□被告は起訴内容を認め、△△被告は「手助けするつもりは一切なかった」と殺人ほう助罪について無罪を主張した。
冒頭陳述で検察側は、○○さんが長女を出産後に強迫性障害を患ったことで□□被告が殺意を抱くようになり、△△被告に遺棄現場などを探すよう頼んでいたと説明。「△△被告は殺害を前提に、遺体を埋める穴を掘るなどしていた」と指摘した。
□□被告の弁護側は、□□被告と長女が○○さんから暴言や暴力を受けていたとし、「子のために殺すしかないと考えた」と主張。△△被告の弁護側は「殺害に反対したが聞いてもらえなかった」と訴えた。
起訴状によると、□□被告は昨年三月、柏市の自宅で○○さんに睡眠導入剤を混ぜたカレーライスを食べさせた後、乗用車内で首を絞めて殺害し、△△被告と遺体を実家の敷地に埋めたとされる。△△被告は同年二~三月、自宅に遺体を埋めることを提案して□□被告とシャベルで穴を掘るなど、殺害行為を助けたとされる。
初公判を伝えるニュースでは、母親が殺人ほう助を否定した点に注目されていました。
が、私が気になったのは、夫が妻を殺害した動機に強迫性障害が絡んでいた部分です。
強迫性障害という病気になった妻が殺害された
「○○さん(妻)が長女を出産後に強迫性障害を患ったことで□□被告(夫)が殺意を抱くようになり」「□□被告と長女が○○さんから暴言や暴力を受けていた」とあります。
強迫性障害を知らない人にはよくわからず、強迫性障害は暴力をふるうようになる病気なの?なぜ病気になったからといって殺されるの?と思われるかもしれません。
もちろん、強迫性障害になった人がみんな暴力的になるわけではないです。
ただ、残念なことに、暴力的になる人もめずらしくないと言われています。
強迫性障害の「巻き込み」は暴力の危険がある
強迫性障害は、汚れているような気がして過剰な洗浄行為をしたり、ドアの鍵や火の元を何度も確認してしまう病気です。
患者の中には「巻き込み」という症状が出る人もいます。
「巻き込み」は、家族など周囲の人にも洗浄や確認といった強迫行為をさせたり、大丈夫という保証を求めたり、自分のルールを強制したりします。
中には、人を思い通りに動かそうとして暴力をふるう患者もいます。
身体的な暴力はなくても、どなる、暴言をあびせる、行動を強制したり制限するのも暴力なのです。
柏の事件は、妻が強迫性障害で通院していたのか、妻はDV加害者で夫は被害者でもあったのかなどが争点になるでしょう。
とはいえ、計画的な犯行と見られるので、過去に強迫性障害の患者が殺された事件のような執行猶予はつかないと思われます。
過去の事件はこちら。
80代父が精神疾患の40代娘を殺害した3つの介護殺人事件
それにしても、強迫性障害からDV加害者になり、逆に殺害される事件というのはたまに発生しますね。
被害者は女性が多いのも地味に気になります。
男女逆だったら、逆上されるのが怖くて殺害はできないのでしょうか。
【追記】
続報についても書きました。
柏の夫による妻殺害事件、妻の強迫性障害の症状
精神疾患の患者と家族がなぜ行き詰ってしまうかは、以下の本が参考になります。
マンガ版はこちら。