『心の体質改善「スキーマ療法」自習ガイド』の感想。生きづらい価値観を育てなおす方法

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『心の体質改善「スキーマ療法」自習ガイド』を読みました。

「スキーマ療法」は、コラム法などの認知行動療法だけでは心の問題が解決できないときに、根深い価値観にアプローチする治療法。

パーソナリティ障害やアダルトチルドレンなど、生きづらさを抱える人たちの治療に使われます。

私にはスキーマ療法までは必要ないだろうと思います。

ただ、強迫性障害を認知行動療法で治したときに、強迫観念によってつくられた価値観を変える・手放す勇気がとても必要でした。

価値観に切り込むスキーマ療法は、強迫性障害の治療にも役立つのではないかと思うのですよね。

スキーマ療法の本はボリュームがあるものばかりなので手が伸びませんでしたが、この本は薄いので読んでみたくなりました。

『心の体質改善「スキーマ療法」自習ガイド』の内容

なぜか、人とぶつかってしまう。いつも自分は後回し、我慢ばかりしている。どれだけがんばっても、これでいいと思えない。

……そんな「生きづらさ」の背景にある「心の体質」を改善するのが、認知行動療法の進化型である「スキーマ療法」です。

治療の場では、熟練したセラピストによる認知行動療法の段階を経たあと、じっくり時間をかけて取り組むものなのですが、そのエッセンスは「自習」も可能。

本書は、日本におけるスキーマ療法の第一人者・伊藤絵美先生の道案内で、イラストとともに自分を振り返っていく自習書です。

生き方を変えるヒントを探している方はもちろん、クライエントにスキーマ療法をわかりやすく説明するためのテキストにもおすすめ。

目次

  1. 心のつぶやきの奥にあるもの
  2. スキーマはどうやってできる?
  3. 自分の中のスキーマ調べ
  4. モードワーク
  5. 実例集―3人のケース

68ページと薄い本です。

自習ガイドと言っても書きこみ形式で課題をこなしていく練習帳ではありませんが、スキーマ療法のやり方は説明されているので、自分で実践することはできます。

スキーマは認知の元になる価値観

スキーマ(Schema)とは図式・概要などの意味を持つ英語です。心理学の世界では「認知の土台部分となっている、価値観・ルール」のことをさします(7ページより)

辛いことがあったときに、できごとそのものよりも「なぜ自分はこんな受け止め方をしてしまうのだろう?」「もっと気楽に流せればいいのに」と悩むことってありますよね。

認知行動療法では、できごとに対する反応や受け止め方を広げます。でも、どうしても変われない、変わるのが怖いという人もいます。

それは、自分の土台となっている価値観があるからです。

生きづらさの原因となっている価値観を見つめなおして、健全な価値観を身につけるのがスキーマ療法です。

「中核的感情欲求」が満たされないと「早期不適応スキーマ」ができる

スキーマ療法を考案したヤング博士によると、人は誰でも5つのエリアの「中核的感情欲求」を持っているといいます。

これは子どもが育つときに、親など養育者との関係の中で満たされたいと願う当たり前の欲求です。

<中略>

けれど何らかの原因で、いずれかのエリアがほとんど満たされない状態が続いたり、繰り返し損なわれたり、激しくグラつくようなことがあると、それは傷つき体験となります。

すると、それぞれのエリアに「早期不適応スキーマ」が作られていくのです。(16~17ページより)

「中核的感情欲求」は5つの領域に分けられ、それが満たされなかったときの代表的な「早期不適応スキーマ」が18個あげられています。

「中核的感情欲求」が満たされない傷つき体験は、誰にでもあるとのこと。

そりゃそうですよね。完璧な親の元で100%健全な教育を受けられた人なんていません。

ただし、あまりにも大きな傷つき体験や頻繁な傷つき体験は「やっかいなスキーマとの腐れ縁ができてしまう」。生きづらさにつながってしまうのですね。

強迫性障害のときの私には、本書に出てくる以下のようなスキーマがあったなと思いました。

欠陥・恥スキーマ
→ちょっとしたミスにも過敏になる。

「この世はなにがあるかわからないし、自分はいとも簡単にやられてしまう」スキーマ
→いつもびくびくと警戒している。

完ぺき主義スキーマ
→実際に何事も完ぺきにやるのは不可能なため、常に不全感を抱いている。

「この世はなにがあるかわからないし、自分はいとも簡単にやられてしまう」スキーマだけ、やけにネーミングが長くて笑っちゃいました。

でもこれ、強迫性障害のことを言っているようなスキーマだなと思いました。

「ヘルシーな大人モード」で自分を守る

早期不適応スキーマが出てきたときに、自分の中でなにが起こっているかを見ていきます。

そして、自分の中にある健康で自立した大人の部分である「ヘルシーな大人モード」で対応できるようになることを目指します。

ヘルシーな大人モードって?

  • 絶対的にあなたを守ってくれる
  • 絶対的にあなたを理解してくれる
  • あなたを正しい方向に導いてくれる
  • あなたを無条件に愛してくれる
  • あなたの幸せを心から願ってくれる
  • 自立した一人の人間として認めてくれる
  • あなたの思いに心から共感してくれる

(46ページより)

「ヘルシーな大人」には、理想の親やアニメのキャラクターを想定してもよいとのこと。著者のクライエントにはムーミンパパとムーミンママが人気だそうです。

私は『魔女の宅急便』のパン屋のおソノさんや、『崖の上のポニョ』の宗介くんのお母さん・リサさんがいいな。自分よりだいぶ年下ですが(笑)

そういえば私は強迫性障害の最中、赤毛のアンの養母・マリラを心の中に住ませていました。

強迫行為が終われないときに、マリラに「もう十分洗ったでしょう」と言ってもらってやめていたのです。マリラは私の「ヘルシーな大人モード」だったのかもしれません。

自分の判断に自信が持てないときにいいですよ。

『心の体質改善「スキーマ療法」自習ガイド』の感想

難しいと言われているスキーマ療法をこの薄さの本でできるのかな?と疑問でしたが、とてもわかりやすかったです。

スキーマ療法のエッセンスがギュッと濃縮されている感じで、短時間で読めました。

実際にスキーマ療法に取り組むなら何回も読み返す必要はありますが、薄い本なので気楽に手に取れます。

逆に、手取り足取り丁寧に教えて欲しいという人には、おすすめできません。

 

強迫性障害には自分の価値観をずたぼろにされて、不安の中で苦しみました。自分の価値観が無くなって…奪われていくような感覚でした。

あのころ、私の中の「ヘルシーな大人モード」が働いていたら、助けになったかもしれません。まあ、そこが壊されていたのですけれど。

強迫性障害に限らず、精神障害にかかるとそれまでの価値観がゆさぶられてしまうことは多いでしょう。

スキーマ療法は、子供時代から生きづらさを抱えた人だけではなく、病気によって壊された健全な価値観を築きなおすためにも使えそうだと思いました。

生きづらさの原因になっている感じ方や受け止め方を変えたい、もっと楽に生きられるように変わりたいという人におすすめです。

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