強迫性障害の診断基準から病識(自覚症状)がはずされていた

強迫性障害は「わかっちゃいるけどやめられない」病気と言われています。患者自身も必要がないと理解できているのに、強迫行為をしてしまうということですね。

自分のしていることは不合理だという認識があるかどうかで、強迫観念なのか妄想なのかという区別がされていました。

ところが、2013年に改訂された国際的な診断基準では、「強迫症状を不合理で過剰なものと洞察できていること」という、病識(自分が病気である自覚)があるかどうかの項目が削除されたそうです。

強迫性障害(OCD)の診断基準と診断の流れ

この新しい診断基準での最大の変更点は、これまで診断基準に定められた「強迫症状を不合理で過剰なものと洞察できていること」という項目が削除されたことです。つまり、強迫症状を本人が「バカバカしいけどやめられない」という認識があるかどうかは問わないということです。

これは、強迫性障害が不安の病気とは異なることを明確にするためだと思います。後述しますが、強迫性障害の中には洞察が乏しく、特に強迫症状に対して問題意識がない方もいらっしゃいます。しかしながら今なお、強迫性障害の診断においては不合理性の認識は重要なポイントに違いありません。

これ、私が強迫性障害になる前の話なんですよね。それなのに、いままでこの情報に行き当たらなかったことは残念に思います。

というのも、私は不潔恐怖症になった初期のころは、自分がしていることは正しいとも思っていたわけで。

過剰だという認識もありましたが、なかなかやめられずにエスカレートしていったのは、自分の中では理屈として正しかったからなのです。

あのころに、この診断基準を知ったからといって、私の頑固な強迫に影響はなかったでしょう。強迫性障害という病気を知ったときには「私はこれだ!」とすぐに納得できましたから。

 

強迫性障害――特に不潔恐怖症の患者さんの中には、自分のしていることを「不合理で過剰なもの」とは思っていない人も多いでしょう。

私もいまでも、科学検査などをすれば、汚れがあらゆるところに移っていることは間違いないと考えています。

だからといって、あらゆるところを洗浄しなければならないのではなく、あらゆるところに汚れはついているのだから、綺麗を保とうとしても無理だと諦めることにしたのです。

 

強迫性障害の患者さんの周囲の人にとっては、病識があるかどうかを診断基準にされないというのは大きな変化です。

強迫性障害であっても、自分は病気ではないと主張する患者さんもいるわけで、巻き込まれるご家族のご苦労は大変なものだと思います。

もともと病識がない場合は、どちらにしろ病気だと認識させるのは大変でしょうが…。少なくとも、「患者に病識がないから強迫性障害ではない」という診断は無くなります。

病気だと診断されることで、強迫性障害の苦しみから抜け出せる人が増えるといいですね。

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