仕事で失敗した日に着ていたシャツを着られなくなった人

サイカルジャーナルに強迫症の記事が掲載されていました。

クリーニングの“タグ”が捨てられません “不合理なマイルール”

マイルールが強迫症に当てはまっていることに気がついた記者が、自分で曝露反応妨害法を実践したお話です。

精神科医・松永寿人先生のお話もあって、興味深い内容でした。

広告

マイルールが増えていく

記者は大学で一人暮らしを始めてからマイルールが増えていったそうです。

▼クリーニングに出した服についてくる「タグ」は捨てずにとっておかないといけない

▼郵便受けのダイヤルは必ず「1」にあわせておかないといけない

▼帰り道は、必ず同じ道、放送センター内でも同じ廊下を通らないといけない

▼リビングの照明は、寝るとき・家にいないときでも常に豆電球にしておかないといけない

これはほんの一部です。

マイルールは、生活を続けるなかでどんどん増えています。大学でひとり暮らしを始めてから増える一方です。

自分自身、まったく無駄で意味の無いことだと心底理解してはいます。

でも、ルールを破った瞬間に、何かイヤなコトが起こるような気がして、続けざるを得ないのです。

このあたりは、確かにマイルールと呼べる程度の軽いものですね。

クリーニングのタグは無意味ですし、同じ道を通らなければならないのは不便そうですが、やりたいならいいのかなと。

本人もこんなことはやめたいと苦しんでいれば別ですが。

仕事で失敗した日に着ていたシャツは2度と着てはいけない

そして、生活を脅かすルールが誕生します。

2018年のある日、非常に困ったルールが誕生してしまいました。

『仕事で失敗した日に来ていたシャツは2度と着ない』というルールです。

<中略>

1着3000円くらいのシャツですが、失敗をするたびに買うのが儀式のようになってしまいました。「失敗した自分が罰金を払うことは理にかなっている」というようなおかしな感覚も持つようになっていきました。

1着3,000円のシャツは、シャツとしては安いのかもしれません。

でも、儀式として買うには手痛い出費です。

強迫性障害では、このように金銭的な負担があることもめずらしくありません。

とはいえ、お金がなければ出費できないわけなので…。強迫観念は、その人がギリギリできそうな強迫行為を提案してくるのでしょう。

コラムを読んで曝露反応妨害法を実践

そんな中、松永寿人先生のコラムで曝露反応妨害法を知ったとのこと。

そんな、私の転機になったのが、あるコラムとの出会いでした。

書いたのは、兵庫医科大学の松永寿人教授。

強迫症の症状への対応として、認知行動療法のひとつ「曝露反応妨害法」が紹介されていました。

「不安を軽減するために行ってきた強迫行為を、衝動が下がるまで止めるよう我慢する。『逃げない、繰り返さない』を継続的に練習し身につけること」

「たったそれだけ?」と感じましたが、治療のガイドラインなどを見てみると、正しく行えば症状を改善する効果があることが精密な臨床研究でも実証されているとのことでした。

この方法を、自分のルールに当てはめて実践することにしました。

2度と着ないとしていたシャツを着て仕事にいくことで、マイルールを廃止できたそうです。

松永先生のコラムはこちら。
松永寿人先生に「強迫性障害」を訊く

私もこのコラムは読みましたが、これを読んで曝露反応妨害法を実践できたとはびっくりです。

たしかにやり方は書いてありますが、やってみよう!という風に書かれたものではないので、これを読んでやってみる人はなかなかいないのでは。

記者にとっては、コラムが答えのようにカチッとはまったのでしょうね。

いまはネットでも曝露反応妨害法を知ることができて、いい時代になったと感じました。

タイトルとURLをコピーしました