強迫性障害の治療に繋がるかもしれないミラーニューロンの実験

Yahoo!ニュースで強迫性障害と手洗いに関する記事を読みました。

Yahoo!ニュースではタイトルが「「手洗い」は衛生面だけでなく、メンタル面にも良かった!?」になっていますが、内容は以下の元記事と同じです。

衛生面だけでなく、メンタル面にも良い「手洗い」の効能

<略>直前に行なっていた作業とはまったく別の作業に切り替える場合などには、頭を“リセット”するために手を洗ってみてもよさそうである。また、重要な問題に対して先入観をなるべく取り除いた状態で慎重に考えたい場合も手洗い行為が有効に作用するかもしれない。

死にそうな思いで手洗いをしていた私としては、強迫性障害につながりそうな危険な提案だなと思いながら読んでいたのですが。

この手の記事にしてはめずらしく(失礼)、強迫性障害の話につなげられていたので驚きました。

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不潔恐怖症が人の手洗いを見ると不安は上がるか下がるか

英・ケンブリッジ大学と米・カリフォルニア大学の合同研究チームは、頻繁に手を洗う不潔恐怖症を持つ10人に実験に参加してもらい映像を見てもらった。映像ではエチケット袋(ゲロ袋)や血がついた解いたばかりの包帯、尿瓶などの不潔なモノをゴム手袋をした人物がそれぞれ15秒間触っていて、それを見てどの程度嫌悪感を感じるのかを評価してもらった。そして映像には人物が手を洗うシーンも含まれていた。

想定の通り、不潔なモノを触る映像を見て不潔恐怖症の人々はかなりの嫌悪感を感じていることがわかった一方、手を洗うシーンを見てきわめて不安が取り除かれていることも判明した。面白いことに、手を洗うシーンを見ている最中に、映像の人物の洗い方がじゅうぶんでないと忠告する参加者もいたという。参加者たちはまさにこの人物の動作きを“自分の身になって”見ているのである。

他者の行為を見て、それを自分が行なったときと同じ脳活動を起させる神経細胞はミラーニューロンと呼ばれ幅広い分野で研究が行なわれているが、メンタルヘルスの分野では疑似体験療法や暴露療法(Exposure therapy)と呼ばれる治療法の開発にこのミラーニューロンの働きが取り入れられている。そして今回の研究は、不潔恐怖症の治療法の開発に繋がるものとして期待できるということだ。

不潔恐怖症の人の中にはむしろ、「他者が手を洗っている姿」で不安が上がる人もいるのではないでしょうか。

実験でも「映像の人物の洗い方がじゅうぶんでないと忠告する参加者もいた」そうです。

私もそうだったのですが、人の手洗いを見ても「指先を濡らしただけじゃない」「え、石鹸を流すのもう終わり!?」などと思うことのほうが多いですからね…。

強迫性障害の悪化時には、家族や恋人が手洗いをしているところも見ないようにしていました。

人の手洗いを見ることで不安はむしろ上がっていたと思います。

まあ、あのころは何をしていても不安だらけだったのですけれど。

映像を使った実験が治療法の開発に繋がる

注目したいのは「不潔なモノを触る映像を見てかなりの嫌悪感を感じている」というほうです。

曝露反応妨害法で、加害恐怖などの実際に曝露しにくい強迫観念に対しては、写真を見せたりイメージさせる方法もあります。

不潔恐怖症やそのほかの強迫性障害でも、曝露をやる勇気が出ない場合や前段階での練習として、イメージを使った曝露が普及するといいなと思いました。

もちろん、不潔恐怖症をはじめとして現実で回避していることが多いなら、そのあとに本番をやる必要もあるでしょうけれど…。

曝露反応妨害法には、患者がやりたがらないという難点があります。それを解決するために日々研究が続けられていることがわかって、うれしくなりました。

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