『動きが脳を変える─活力と変化を生みだすニューロ・ムーブメント』の感想

『動きが脳を変える─活力と変化を生みだすニューロ・ムーブメント』を読みました。

著者はアナット・バニエルさん。脳を活性化させるための方法を「ニューロ・ムーブメント」として提唱しています。

ニューロ(neuro)とは神経、ムーブメント(movement)とは体の動き、動作といった意味です。

タイトルから脳の本なのかと思ったら、この記事を書いた時点でAmazonのヨガ・ピラティスのカテゴリでベストセラー1位、脳・認知症で3位になっていました。

読んでみたら、動きにとっての脳の大切さ、脳にとっての動きの大切さが書いてありました。動きと脳の相互効果がわかる素敵な本でした。

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『動きが脳を変える』の内容

あなたが変化できる力は、想像よりはるかに大きい──穏やかな動きで脳を目覚めさせる、ニューロ・ムーブメント入門。

心身に強さとしなやかさを。明晰な思考と鮮やかな感覚を。

指揮者・演奏家・スポーツトレーナーも実践する「脳の可塑性」を引きだすメソッドを日本初公開!

基本的な身体の動きとそこへの意識の向け方で、いくつになっても新しい神経回路はつくられる。

低調感を払拭し、活力へとつなげるためのレッスンを豊富なイラストとともに。

目次

  1. 動きに注意を向ける──脳に新しい回路を
  2. 学びのスイッチをオンにする──新しい世界への扉
  3. 力をぬいてわずかな違いに気づく──微かな力で
  4. バリエーションをとりいれる──豊かな可能性
  5. ゆっくりの力を知る──脳の注意をひく
  6. 内なる熱狂をよびさます──小さなことが大きな変化に
  7. 目標設定はゆるやかに──不可能を可能にするために
  8. 夢をみる力、想像する力──あなたの人生を創る
  9. 気づいているということ──自己を観察する

「9つの大事なこと(エッセンス)」が1章ずつ書かれており、それぞれの解説と「思考と行動のレッスン」、イラスト付きの「動きのレッスン」、セルフチェックがあります。

興味があるものから取り組んでもいいそうで、どの章からでも読むことができます。

穏やかな動きがなぜ脳にいいのか

強迫性障害では強迫行為を減らすときに「ゆっくり1回だけ」にするといいと言われています。

私もゆっくりと感覚を意識しながら=マインドフルに強迫行為をすることで、「いま強迫行為をしたっけ?」という記憶が抜け落ちるような不安が減り、やめやすくなりました。

本書によると、ゆっくりと「動きに注意を向ける」ことで、脳に新しい情報を送り、新しい回路が作られるのだそうです。

なんでゆっくりが効果的なんだろう?と思っていたので、なるほど!と納得できました。

自動モードで生活していると、それが習慣になり、動きにも考えにも活力がなくなります。

<中略>

同じような生活を続けていると、変化に抵抗するようになりがちです。

<中略>

しかし、自分の身体や思考、感情の動きに注意を向けると、脳は、その新しい情報を利用し、そのことで望ましくない状態から脱することができます。(40ページより)

強迫性障害から抜け出すのにも、ゆっくりは役立っていたのかもしれません。

行動は脳内の神経伝達物質に影響を与える

また、脳内の神経伝達物質については、以下のように書かれていました。

うつをはじめとして、さまざまな気分をもたらす脳内の神経伝達物質が解明され、自分の運命を握るのはそのような化学物質だと考えることがあるかもしれませんが、私たちの態度や行動もまた、この物質に影響を与えることができます。(141ページより)

強迫性障害には、脳内の神経伝達物質であるセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンなどの働きが関係していると言われています。

神経伝達物質に働きかけるのは薬だけではなく、態度や行動、もちろん認知行動療法でも変えられるということですよね。

変えられないのだったら私が強迫性障害から回復することも、ボロボロになった頭の働きが戻ることもなかったでしょう。

『動きが脳を変える』の感想

表紙のイラストと色合いが優しく綺麗で、手に取ったときに嬉しくなりました。

本文は文章が上寄りになったり下寄りになったりという変わったレイアウトです。最初はとまどいましたが、これも脳に働きかけるのかな?と楽しく読みました。

文章は優しい語り口で、翻訳書だと思えないくらい読みやすいです。

日常生活の中で脳をよりよく働かせる方法が書かれていて、取り組みやすいのがいいですね。

脳に運動がいいと知っていても、外に出てやる気になれない私にはぴったり(笑)

動きのレッスンも、私は体がかたいので、簡単な動作で可動域が広がるのがおもしろかったです。

体のパーツを意識しながらゆっくりと動くことで、マインドフルネスのような効果もありそうだと感じました。

ただ、イラストがあるとはいえ本の説明を読みながらやるのは大変なので、DVD付きのムックが出るといいのになあ。説明を音声に変えて聞きながらやろうかと思います。

全体の感想としては、脳の柔軟さや可能性を広げられることがわかって、とてもわくわくしました。

私は40代で脳の衰えも感じますし、近い将来、四十肩や五十肩といった体の不調が出てきたときのためにも心強い本でした。

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