『読んで分かる!感じて納得!うつは「体」から治せる!』を読みました。
著者はうつ・自律神経失調症専門の整体院の院長さん。ご自身もうつ病になり、治った経験があるそうです。
うつのときは体を動かすのも難しいものがありますが、症状が軽いときや予防のために、うつにいい運動や体操を知りたくて読んでみました。
「うつぬけ体操」「うつぬけヨガ」的な本を探したのですが、いま出ている中ではこの本が近いかなと思います。
『うつは「体」から治せる!』の内容
うつは「心」や「性格」が原因ではなかった!この本で、うつにおさらばしよう!
「背骨の呼吸法」や「あご・口の中の自己整体」など、簡単にできて常識を覆すうつ改善ワークを、25年以上3万人以上の患者をみてきたうつのパイオニアが多数紹介!
お医者さんで、「あなたのうつは性格が原因だ」と言われた方、薬を使わず、本気でうつ・自律神経を治したい方、サロンワークのための、うつ・自立神経失調症へのボディーケアアプローチ法を学びたい方などにオススメの本です。
- 第1章 「うつ」の間違った3つの常識
- 第2章 もし間違った常識のままだと、うつは悪化する
- 第3章 体からうつを改善させる対策法
- 第4章 体からうつを改善させる 総論
うつの間違った3つの常識
- 「精神的ストレス」があるからうつになる
- うつは「心」に問題がある
- うつはイライラしたりくよくよしたりする「性格」に問題がある
(19ページより)
3つの常識が間違っているという根拠がわからず、納得できませんでした。
著者がうつになった経緯にも「仕事やプライベートのトラブルが長期間続いていて、非常にイライラすることが多かった」と書いてあります。
イライラ=怒りを抑え込み、精神面を治そうとしたが効果がなかった。怒りを発散させてからよくなってきた…というお話なのですが、心が不調だったということではないのでしょうか?
心は脳であり、脳の不調が体に出るというのが私の考えです。体から治せるという主張をするために、心の問題を否定する必要はないのにと思いました。
うつになる体の3つの特徴
- 筋肉の緊張
- 頭蓋骨のゆがみ
- 背骨・骨盤のゆがみ
(25ページより)
筋肉の緊張には、「感情を抑えることによる緊張」と「自律神経的な緊張」がある。頭蓋骨のゆがみは「脳の機能の低下」、背骨や骨盤のゆがみは頭蓋骨のゆがみを起こすとのこと。
「うつになる体の3つの特徴」があると、体を動かすためのエネルギー不足になってしまうそうです。
筋肉の緊張は意識して治しやすいのでおすすめです。
私も強迫観念がわいたり強迫行為をするときに筋肉が緊張するので、力を抜くようにしています。
うつには「エネルギーが不足しているかのような疲労感」という症状がありますが、これはうつになる体の3つの特徴があることで起こります。
<中略>
つまりエネルギーは、生産→循環→消費(使う)→生産という流れが繰り返されるようになっているのです。
これを「エネルギープロセス」といい、これが正常に行われないとエネルギー生産の不足、流れの不足、使うことの不足が起こり、生きるためのエネルギーが足りなくなってしまうのです。
これが全てののうつの原因なのです。(32ページより)
だからその、「うつになる体の3つの特徴」になる原因が心の不調ではないでしょうか。体の状態が大事だという点や、エネルギーのお話はうなずけるのでいいのですけれど。
私も強迫性障害がひどかったときには、うつ状態になって体を健康に保つことができず、体重と体力が落ちていきました。
心が悪くなる⇔体が悪くなるの悪循環。
体まで不健康にしていはいけない!と、体の健康を心がけて復活しましたが、やはり始まりは心だったと思います。
もし間違った常識のままだと、うつは悪化する
うつを心や性格の問題だとすると、なぜ改善しにくいのかが書かれています。
感情と自律神経の関連性や、ストレスに対して自律神経や体がどう反応するのかが説明されていて、おもしろかったです。
交感神経と副交感神経の両方の働きが悪い方もいます。
そのような方は、「怒っちゃいけない」「泣いてはいけない」「感情を出してはいけない」と、怒りも悲しみも日頃から強く抑え込んでいるのです。すると交感神経も副交感神経も働けなくなります。
これでは生きるエネルギーが少なくなって当然であり、うつになっても何ら不思議ではありません。(88ページより)
人は社会で適切なふるまいをするために、感情表現を抑える必要もあります。
感情をいつも抑えていると、使わない筋肉が衰えていくように、感情表現ができなくなってしまうということですね。
また、極度にびっくりした時に思考が働かなかったり、記憶がなくなったり簡単な受け答えもできなくなったり、体が固まった感じがする方もいるでしょう。これもフリーズ状態です。
これは自分では取り扱えない強大なストレスのために、頭も心も体も、すべてが動かなくなってしまう動物的な反応です。(91ページより)
私は強迫観念がひどいとフリーズしていたので、ドキッとしました。動物的な反応だったのですね。
ストレスが大きいとフリーズが起こり、思考も感情も感覚も低下して行動できなくなるのだそうです。
交感神経タイプと副交感神経タイプ
自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあります。
交感神経と副交感神経の両方の感情を出して、交感神経も副交感神経もたくさん使い鍛えていくこと。これがうつにならない方法であり、うつを改善させていく方法でもあります。(113ページより)
衰えた感情表現を復活させるために鍛える!
うつの予防に自律神経の働きをよくするといいというのは聞きますが、うつになってからも効果的だとは思いつきませんでした。
悲しみや落ち込みなどの感情を出しやすい方は「副交感神経タイプ」、逆に怒りやイライラの感情を出しやすい方は「交感神経タイプ」です。(114ページより)
怒りを我慢しているときは、筋肉運動と声を出すのを両方やるといいそうです。声を出しながらスポーツをしたり、カラオケで踊ったり。
悲しみを我慢しているときは、泣ける映画などを見てたくさん泣くといいそうです。
私は副交感神経タイプですが、強迫性障害になってからはイライラすることが増えて交感神経タイプのようになりました。
ほぼ寝たきりになって筋肉運動をしていなかったせいなのかもしれません。
体を回復させるときに、弱った体でもできるので歌うことと散歩をするようにしましたが、自律神経にも良かったのかな?
歌は自分の感情に寄り添う曲を選ぶので、交感神経と副交感神経の両方に働きかけるような気がします。
体からうつを改善させる対策法
いよいよ、体からうつを改善させる具体的な方法にはいります。
姿勢の重要性と感覚認識のテストに始まり、うつになりやすい「上気」という状態と改善対策について書かれています。
上気対策は姿勢・呼吸・思考・意識の4つ。思考の対策では以下のように書かれていました。
考えすぎて頭ばかり使ってしまう方は、体を動かすことが必要です。(153ページより)
強迫性障害にも当てはまることですね。
続いて、シャワートレーニング、脱力訓練法、タッチングが紹介されていました。脱力訓練法とタッチングは、強迫性障害の本にも出てくることがあります。
脳脊髄液の流れをよくするためのストレッチや、うつがよくなる呼吸法、横隔膜弛緩法も載っていました。
私はストレッチなどを期待してこの本を手にしていたので、ここまで長かった!という気持ちになりました(笑)
首のストレッチは自分でやるのは少し怖いかなあ。呼吸法や横隔膜弛緩法、あご・口の中・のどの自己整体はやってみたいです。
ストレッチの部分は、思ったよりページ数もイラストも少なかったのが残念でした。もっとステップごとのイラスト付きで詳しく知りたかったです。
『うつは「体」から治せる!』の感想
心の不調を体から治す方法がよくわかって良かったです。
全体的に根拠がわかりづらかったものの、読みものの部分も興味深かったですし、すすめられている方法は自分でできて毒にはならないものなので取り入れたいです。
ただし、うつの人が読むには少し長い気がします。前半を絞って、ストレッチなど実践的な部分が多ければ、もっと読みやすかったでしょう。
体から・行動からうつを改善していくというのは、強迫性障害を治すにあたり、体の健康から整えてきた私にはおおいにうなずけました。
曝露反応妨害法に限らず、本書に書いてあるような形で体を動かして、治るために行動していくことも大切だと思いました。
強迫性障害やうつ病を始めとして、心をうまくコントロールできない人の希望になる本ではないでしょうか。