『うつぬけ食事術』の感想。未病、不定愁訴…原因不明の体調不良のときに読みたい本

『うつぬけ食事術』を読みました。精神科医・漢方医で『食べてうつぬけ』の著者である奥平智之医師の本です。

『食べてうつぬけ』がとても読みやすかったので、こちらも読んでみることにしました。

広告

『うつぬけ食事術』の内容

本書では、鉄欠乏による不調を”鉄欠乏うつ“など、「栄養型うつ」を6つのタイプに分けて、チェックリストやカラーのマンガで、わかりやすく解説。そして、誰にでもできる “うつぬけ食事術”を、オススメの食材やレシピを用いて紹介します。

タイプを見極めるのに必要なのが、『血液栄養解析』。栄養面から血液検査を“深読み”する方法です。8ページにわたり、血液の検査項目について、栄養面からの理想値、黄色信号、赤信号を具体的な数値入れて解説。具体的な症例もあり、専門家も必読、永久保存版の内容です!

目次

  1. あなたのその不調「栄養型うつ」かも?
  2. 「栄養型うつ」って知っていますか?
  3. それぞれの「栄養型うつ」の特徴を理解しよう
  4. 腸をよくして「栄養型うつ」回復に役立てよう
  5. 「栄養型うつ」は食べて治す
  6. 血液検査で栄養解析をしよう

「栄養型うつ」6タイプ

栄養型うつとして以下の6タイプが挙げられています。

  1. Bタンパク欠乏うつ
  2. コレステロール欠乏
  3. 鉄欠乏うつ
  4. 亜鉛欠乏うつ
  5. マグネシウム欠乏うつ
  6. ビタミンD欠乏うつ

Bタンパク・コレステロール・鉄は要するにタンパク質不足じゃないかという気がするのですが、どうなのでしょう。

亜鉛・マグネシウム・ビタミンDは欠乏症について耳にしたことがあります。うつ状態になるとは知らなかったので、知ることができてよかったです。

そのほかにもリーキーガットや慢性炎症、副腎疲労など、未病の元になるものがあれこれ書かれていました。

食事術は普通だけど漢方がいい

食事術は、こういった本を読みなれているとすでに知っている感じです。

レシピもテキストだけなので、あまり作ってみようという気にもならず…。

「乳酸発酵野菜&きのこ」は、なんか前にもこういう発酵させる健康食品が流行ったので、手作りが好きな人にははまるかも。私は自分で発酵させるのは怖いので、試せなくて残念です。

「ハーブや香辛料は漢方の生薬です」としてシナモンやしょうがの効果が紹介されていたのはおもしろく、もっと知りたかったです。

シナモンは「気を下げる:気の上昇による不安焦燥・不眠・めまい・頭痛などを和らげる」とのこと。強迫性障害でバーッと頭が興奮したときに良さそうだと思いました。

まあ、私はシナモンがあまり好きじゃないのですけれど(笑)

メチル化(メチレーション)と強迫性障害

最後の最後、あとがきの直前のたった1ページなのですが、「メチレーションによる2つのうつ分類」というページはとても興味深かったです。

メチル化が高くなる(遺伝子発現が起こらない)と、再取り込みの輸送体の数が減ります。その結果、神経細胞同士のシナプスの間のドーパミンやセロトニンが増えすぎてしまい、幻覚妄想や興奮を引き起こす可能性が。(155ページより)

本書によるとメチル化により2つの分類ができるそうです。

低メチル化タイプ

多い疾患:うつ病・強迫性障害・自閉症
神経伝達物質:少ない

高メチル化タイプ

多い疾患:妄想型統合失調症・ADHD・不安発作
神経伝達物質:多い

効きやすいサプリや悪化しやすいサプリも載っており、2つのタイプで真逆になっています。

強迫性障害は統合失調症と間違われることが多いですし、統合失調症に使われる向精神薬で改善が見られることもあります。

なので、強迫性障害と統合失調症は神経伝達物質の偏りかたは同じなのかと思っていたのですが、真逆なのですね。

考えてみれば、傾向が同じならば誤診されても大きな悪影響はないはず。誤診で大変なことになってしまう人がいるのですから、違って当たり前なのでした。

正反対なのに症状は似てしまうなんて難しいです。

『うつぬけ食事術』の感想

160ページとあまり分厚くもなく、マンガやイラスト、図解を多用して読みやすくしてあります。

ただ、見た目のかわいらしさのわりには専門的に突っ込んだ解説も多いです。

栄養型うつをタイプ分けしていることで、タイプ別に不足している栄養や対策が分かれており、ちょっとややこしい印象です。

自分がどれなのかな?と考えながら読むと、あれもこれも当てはまる気がして、じゃああれもこれも不足している!?という気に…。

それでいて、タイプが違ってもおすすめ食材はかぶっているものが多く、ここまで分ける必要あるのかな?と疑問でした。

藤川先生の『うつ消しごはん』のように、鉄タンパク不足!プロテインと鉄で解決!!と言われるほうが明確ではありますね。

とはいえ、栄養不足から生じる様々な体の不調が解説されていて、充実した内容です。

鉄タンパク不足が当てはまらなかったという人には、ほかの栄養不足の可能性とともに改善のヒントが見つかるかもしれません。


『食べてうつぬけ』のマンガ版も発売です。

タイトルとURLをコピーしました