『”理由のない不安”を一瞬で消す方法』の感想。マインドフルネスで触覚を鍛える

『”理由のない不安”を一瞬で消す方法』を読みました。

不安にさんざん悩まされてきた私としては、「一瞬で消す方法」というのはとても魅力的に見えてしまいますね。

著者の高牟禮 憲司(たかむれ けんじ)さんは、エンジニア時代に心のバランスを崩して休職したのをきっかけにカウンセラーになったとのこと。

私は医師や臨床心理士ではないカウンセラーはあまり信用しませんし、大げさすぎるタイトルもどうかと思います。が、表紙の「モヤモヤした不安をマインドフルネスを使った方法で消し去る」というコピーを見て興味がわきました。

読んでみて、一瞬では消えないな…?と思いましたが、なかなか良い本でした。

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『”理由のない不安”を一瞬で消す方法』の内容

仕事、恋愛、結婚、離婚、将来、孤独死・・・。自由に人生を選べる反作用として「理由のない不安」に陥る危険性と解決法。

「こうあるべき」という昔からの日本人のあり方から自由になり、情報通信手段が格段に便利になった現代では自由に自分のライフデザインが描くことが可能になりました。

しかし、その反作用として「理由のない不安」を抱える人が増えています。

仕事、恋愛、結婚、離婚、将来、孤独死・・・などに漠然とした不安を抱えたときに、どう考えて何をすればいいかをわかりやすく説明。

話題のマインドフルネスを活用した対処法は不安を抱える人には効果てきめん。

目次

  1. 第1章 「理由なき不安」におびえる人が増えている!
  2. 第2章 これで「つらい過去の記憶」は、みるみる消える!
  3. 第3章 漠然とした将来への不安に対処する
  4. 第4章 仕事の取り組み方、人間関係のつくり方
  5. 第5章 恋愛下手を治す処方箋
  6. 第6章 結婚・子育てで起こる不安・不満
  7. 第7章 美容・健康改善に必要なメンタル・テクニック

不安と脳の警報機の誤作動

不安の仕組みとして、強迫性障害の原因ともいわれている脳の警報機の誤作動の話などが書いてありました。

不安を感じて過敏になることで、大きな危険がないのに「どうしよう」「もうダメだ」と、不安だらけになることもあるのです。

それは火災警報器がしょっちゅう誤作動を起こし、「ジリジリジリッ」と鳴ってしまうようなものです。(18ページより)

私の頭の中の火災警報器はだいぶ静かになりましたが、当時は本当に誤作動だらけでしたね。

誤作動というか、あまりに頻繁に鳴るので空耳でベルの音が聞こえているような感じでした。

せっぱ詰まった生死と関係ないときに「戦うか逃げるか反応」のスイッチが入ってしまうと、柔軟に対応することができません。「戦え!」「逃げろ!」という反応は、社会生活で裏目に出てしまうことが多いのです。(20~21ページより)

強迫性障害だと、いいえ、大きな危険なんです!生死と関係あるんです!と言いたくなりますが、もちろんそれは強迫観念が見せている幻です。

本当にね、裏目に出まくりますよ…。

「理由のある必然的な不安」なのか、「理由がなく場違いな不安」なのか、この違いをしっかりと区別できるようになることです。(22ページより)

不安には2種類ある。必要な不安か必要でない不安か、あるいは、解決できる不安かどうしようもない不安かというのは、不安についての本ではおなじみです。

理由のない不安を解消するためには触覚の感度を高めることが大事であり、そのためのテクニックが、著者の提唱する「クイック・マインドフルネス・テクニック」だそうです。

不安は触覚を通じて気づくもの

著者は、不安は触覚を通じて気づくものだと言います。

私が思うに、理由のない不安が増えている原因のひとつは、「五感の使い方が偏っている」ことにあります。

<中略>

実は、不安という感情は、「触覚」を通じて気づくものです。しかし、触覚の使用頻度が下がったことで感度が下がってきています。だから、未来のリスクに対して「不安」があっても気づけない人が増えてきているのです。(23ページより)

ん?不安の感度が下がっている?

だったら不安を感じることは減るんじゃないのと思うのですが。

たまった不安は慢性的なものになり、理由もわからないのに常に自分を圧迫してきます。(24ページより)

なるほど。不安があるのに気がつかないでいると、どんどんたまってしまうということですか。

肩こりや体の疲れと同じですね。

この触覚説は根拠のない著者の考えのようですが、触ることは幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンの分泌にもつながるので、いいのではないかと思いました。

クイック・マインドフルネス・テクニックの効果

「クイック・マインドフルネス・テクニック」は手を握り、左右のこぶしを握りしめる力を観察することでマインドフルネスな状態になり、不安を解消するというものです。

マインドフルネスは瞑想レベルではなく「今の感覚に集中する」だけなので、わざわざ習得するものではなく、簡単にできるものです。

1分くらいはかかるので、「一瞬で消す方法」は言い過ぎだと思いました(笑)

繰り返し行っていると、この力の入れ方に慣れてきて、ものの見方も「白から黒」から「グレー」に変わり、視野が広がってきます。不安があっても「いい」「悪い」という判断が入らない、ニュートラルなスタンスで観察できるようになります。(26ページより)

私も不安を感じたときはマインドフルネスを心がけていますが、はっきりと価値観が変わるというよりは冷静になって「まあいいか」と流せるようになります。

ちなみに『ホンマでっか!?TV』で見た指先を合わせるポーズが気に入っているので、普段はそれでマインドフルネスな状態になるようにしています。なんか”それっぽい”ので、気分が上がるんですよ(笑)

『ホンマでっかTV テンパる人・テンパらない人』を観た感想。パニックや強迫性障害にも参考になった

『"理由のない不安"を一瞬で消す方法』のやり方だと強い触覚があるから、強い不安にも対応できるとのこと。力をいれてからゆるめるので、筋弛緩法や気そらしに似た効果もありそうです。

力を入れたり抜いたりするときに、呼吸も自然と整うのが良いです。

強迫観念のことを考えていたい、集中していたいというときではなく、もう離れたいと思ったときにやりたいですね。冷静さを取り戻せる感覚がありました。

『”理由のない不安”を一瞬で消す方法』の感想

文章が読みやすくて、すらすらと読めました。

オリジナルの手法を提唱する本にありがちですが、後半は仕事や恋愛といった具体的な悩みの解決方法の話になります。3章まで読んで、あとは興味があれば読めばいいと思います。

たいてい最後には「クイック・マインドフルネス・テクニック」で解決しましょう!となるのが、ちょとクドいかな。

ただ、「クイック~」以外の不安の解消法も、なかなかいいことが書かれているんですよ。

「クイック~」押しがないほうが良いのではないかという気がするほどでした。

まあでも、考え方を広げるのは難しいので、マインドフルネスもあるほうが安心かもしれません。

もやもやした不安に悩まされている人にはおすすめです。

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