『強迫性障害治療日記』を読みました。
『強迫性障害です!』の続編で、タイトルのとおり認知行動療法での治療の様子が描かれています。
そのほかにも「宣伝活動」や「いろんな治療法」の章があり、最初から最後までしっかりと強迫性障害のお話で、興味深く読めました。
『強迫性障害治療日記』の内容
テレビやネットニュースなどで話題になり大反響を巻き起こした強迫性障害をもつ漫画家によるコミックエッセイ『強迫性障害です!』に続く治療編。
強迫性障害をかかえて奮闘する著者の漫画は多くの共感を呼んだ。数多く寄せられた「治療について詳しく知りたい」という熱い要望に応え、本格的に強迫性障害治療に取り組んだ軌跡を描いた。
日々の生活のなかにいかに治療を取り入れていったのか。自身が治療者と共に取り組んだ治療法をはじめ、著者が自分なりに学んださまざまな治療法も紹介した待望の書。
目次
- プロローグ 決意する
- 第1章 病院での治療
- 第2章 宣伝活動
- 第3章 いろんな治療法
第1章 病院での治療。認知行動療法の様子がわかりやすい
前作での治療は投薬とカウンセリングでした。本書では認知行動療法の曝露反応妨害法がスタート。
患者が認知行動療法を受けたいと思ったときに、通っている病院でそのまま受けられるのは理想的ですね。
治療の内容は、本『強迫性障害の治療ガイド』がベースになっています。
本書でのみやざきさんの治療は、仕事上の儀式的なものがメインです。が、不潔恐怖や確認の例もあるので、自分ならどうなのかイメージできました。
漫画だと曝露反応妨害法のやり方はもちろん、治療中の心情がよくわかっていいなあと思います。
曝露を重ねていくうちに、受け止め方など反応の変化があることがはっきり見えました。
私の場合は強迫性障害で苦しんでいても、基本はフリーズ型で動けなくなってしまいます。
頭はフル回転だし心臓がドキドキしたり呼吸が早くなったりはしても、人から見てわかりやすい症状ではありません。
そういう外に出ない伝わりにくい症状を描いてくれているのが嬉しかったです。
課題を決めるときに心理士の先生からダメ出しが入るのもいいですね。
自分でやると、この辺が甘くなってしまうので参考になります。
第2章 宣伝活動。行動が曝露になる
第2章の宣伝活動の話はあまり期待していなかったのですが、おもしろかったです。
みやざきさんは前作を出されたあとでテレビ出演されたり、ウェブメディアの取材を受けられていました。
ご自宅に取材が入ったり顔出しされていたり、まだ症状もあるのにすごい!と尊敬していました。まさか、ご自身で宣伝活動をした成果だったとは!
いまどきの漫画家さんは自分で宣伝活動をしなければならないとは聞いています。
でも、前作の様子ではそこまで活動するのは難しいように見えたのです。
みやざきさんは強迫性障害の認知度を上げるための「謎の使命感」と書かれていました。
強迫性障害ならではの、自分の責任を大きく考えてしまう「責任の拡大」もあったのかもしれませんね。
強迫性障害を広めていただけてありがたかったですし、結果的に曝露にもなったようでいいお話でした。
第3章 いろんな治療法。本で学ぶ認知行動療法やACTなど
第3章は、みやざきさんが本を読んでやってみた治療法のことが書かれていました。
私もほとんどの本を読んだことがあるので、思い出しながら読みました。
『不安もパニックも、さようなら』のメリット・デメリット分析などは今でもよく使います。
認知行動療法のほかに、田村浩二さんの本や森田療法、ACT、マインドフルネスなどが紹介されていました。
『強迫性障害治療日記』の感想
私も曝露反応妨害法をやったので、当時のことを思い出して共感しながら読めました。
強迫性障害が認知行動療法で治っていく過程が読めて、こういう本が出るようになったのかと感慨深く、とても嬉しかったです。
私が強迫性障害になったのは2014年の秋。当時はまだ専門書以外の強迫性障害の本も、ネット上の体験談もとても少なかったです。
治療の過程がこんなにもわかりやすく漫画で読めるようになるなんて感激でした。
強迫性障害で悩んでいる人には、前作の『強迫性障害です!』と一緒にぜひ読んで欲しい本です。
定価は1,296円(税込み)です。Amazonで品切れだと定価以上で販売するショップがあるのでご注意ください。
『強迫性障害です!』を読んだ感想はこちら。
コミックエッセイ『強迫性障害です!』の感想。患者のリアルな苦しみがよくわかる
本書に出てきた『強迫性障害の治療ガイド』はこちら。
読んだ感想はこちら。
『強迫性障害の治療ガイド』の感想。曝露反応妨害法の練習帳(ワークブック)