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強迫性障害の不潔恐怖症(潔癖症)を認知行動療法で治すまでのブログ。ほぼ治った寛解状態になりました

『不安もパニックも、さようなら』の感想。40の認知行動療法から合う治療法を探す

      2018/08/03


『不安もパニックも、さようなら』を読みました。

うつ病に対する認知行動療法のベストセラー『いやな気分よ、さようなら』と同じ著者・精神科医 デビット・D・バーンズ氏の本です。こちらは強迫性障害、パニック障害、社交性不安障害などに向けられています。

824ページとまるで辞書のような厚さ!40もの認知行動療法テクニックが載っているので、曝露反応妨害法が進まないときに視点を変えるのに良いと思いました。

『不安もパニックも、さようなら』の内容

パニック発作、対人恐怖(社交不安)、恐怖症、PTSD、強迫性障害など、さまざまな不安障害を、薬を飲むことなく、効果的に治療する認知行動療法を紹介。分かりやすく解説されている40の強力な抗不安技法を、読者は、ご自分の症状に合わせて効果的に選択できる。考えうるすべての不安を撃退する武器を読者に提供。

  1. 第一部 基礎
    我思うゆえに我恐れる/不安? それとも憂うつ?/あなたは不安障害ですか?/本当に変わりたいですか/日常気分記録表
  2. 第二部 認知モデル
    自虐的信念の覆いをとる/自虐的信念を修正するには?/「そうしたらどうなるか」技法/思いやりに基づく技法/真実に基づく技法/ほか
  3. 第三部 曝露モデル
    古典的曝露/認知的曝露/対人関係曝露
  4. 第四部 隠された感情モデル
    隠された感情技法
  5. 第五部 効果的技法の選択
    回復のサークル/すべてを総合する/フィーリング・ベターvs.ゲッティング・ベター

気になった技法をいくつか取り上げていきます。

メリット・デメリット分析

メリット・デメリット分析はその名の通り、メリットとデメリットをリストアップするものです。

私も確認強迫を改善したときに同じようなことをしたので、治療法とされていることに驚きました。

そのときの記事はこちら
私が確認強迫症を克服した方法。確認をするメリットとデメリットを比べる

著者は、不安を克服するためには筆記練習が成功の鍵を握っていると言います。メリットとデメリットを実際に書き出すか?行動に移すか?ということですね。

症例に出てくる著者の患者であるアイリーンという女性は、いつも筆記練習を忘れてばかりいます。

著者は彼女に「うつで不安を抱えていることのメリットと、回復することのデメリット」をリストアップするように提案しました。

アイリーンは、みじめな状態にあることのメリットを、以下を含めてたくさんあげました。

  • 動揺していると、夫の注意を引きつけることができる。
  • 料理や家事をしなくて済む。夫がすべて代わりにしてくれる。
  • あのぞっとする職探しのために外出しなくて済む。
  • 犠牲者の役を演じることで、自分を哀れむことができる。
  • 私のことを十分に愛してくれていないすべての人々(とくに父と兄弟)に対して、不平を言うことができる。
  • いつも怒っていられる。
  • 自分が特別と感じていられる。
  • バーンズ先生をイライラさせて、自分をコントロールすることも、あれこれ指図することもできないことを見せつけていられる。
  • いつでも好きなときに飲酒したり、抗不安剤をのんだりすることを正当化できる。

(95~96ページより)

アイリーンのリストはとても正直で、私にも同じような気持ちがあると感じました。

回避により入浴回数を減らしたり料理をするのを避けたりしていますが、強迫性障害に関係なくそちらのほうが楽です。

できあいのお惣菜やお弁当を買う罪悪感に対して、「強迫性障害だから仕方ない」と言い訳をしている面もあります。

さて、アイリーンはと言いますと、著者にうつのメリットを肯定されたことで、治療に意欲的になりました。

著者はアイリーンに「あなたは私のいいお客さんだから通い続けて欲しい」的なことまで(もちろんわざと)言っており、おかしかったです。

もしあなたが人生を変えたいと望むのであれば、問題が何であれ、隠されたメリットを放棄し、代償を支払わねばならないことに変わりはありません。
(97ページより)

私が何度も自分に問いかけてきた、なぜ曝露反応妨害法を進められないのか?という疑問。それはつまり、やらないことにメリットがあるからなのですよね。

恐怖と向き合わないで済む。失敗する可能性を避けられる。かわいそうで怠惰な自分でいられる。

でも同時に、治る可能性も失っていることを理解しなくてはなりません。

曝露反応妨害法

曝露反応妨害法では、基本的な不安階層表を作る方法とともに、フラッディングとディストラクションという技法が紹介されていました。

フラッディング

フラッディングとは、直訳で「洪水」という意味です。

段階的曝露法では、恐怖の対象に小さく分けたステップごとにあなたを曝露し、不安感を低減させます。対照的にフラッディングでは、不安の対象に一気に曝露し、不安感が消え去るまで自分を不安に屈服させます。(439ページより)

私が初めて知った曝露反応妨害法はフラッディングでした。

なごやメンタルクリニックで行われている不潔恐怖症の人への治療で、便器の水に触るというものでした。※患者の同意のうえで行い、強制するものではありません。

あんなことはとてもできない!あんな治療をしなければならなくなってはいけない!と思い、自分で段階的曝露法を始めたわけなのですが。

衝撃のあまり治療のモチベーションになったので、とても感謝しています。いまでも曝露が怖いときには、「便器の水よりまし!」と自分に言い聞かせています(笑)

ディストラクション

ディストラクションとは、直訳で「破壊」という意味です。

一部のセラピストは、曝露療法実施中に患者さんが感じる不安を緩和する方法の1つとして、ディストラクションを推奨しています。例えば、飛行機で旅行中パニックに襲われた場合、クロスワード・パズルに集中したり、隣席の旅行者との会話に集中したりして、気をそらすことができます。

<中略>

私は、ディストラクションをあまり頻繁には用いません。なぜなら、それは回避戦略の1つであり、不安は危険とのメッセージを伝える可能性があるからです。そうではなく、患者さんには、不安に降参し、できるだけ不安を強く感じるよう、私は勧めています。(455~456ページより)

私はこのディストラクションを使っています。

曝露を始めたてのころは、曝露の最中にも頭の中で別のことを考えたりしていました。いまでは、曝露したあとで気分転換をしています。

不安を感じている時間を十分にとっているか、見直したほうがよさそうです。

効果的技法の選択

この本では40の技法が紹介されているので、第五部で自分に必要な技法の選び方が解説されているんですよ。最初にさらっと第五部に目を通してもいいかもしれません。

どの技法を選択すべきか、また各技法がどのように作用するかなどについて、今の段階であまり心配する必要はありません。ただ、できるだけ数多く技法を選択することだけは確実に行ってください。(581ページより)

この本を良いと思う1番の理由はここです。とにかくたくさんの技法を、どんどん試すようになっているところ!

強迫性障害で縮こまっていろんなことを回避しているときに、行動するというのはとても大切です。

「どうせ効果がないから何もしない」ではなく「効果があるかどうかわからないけれど試してみる」。それが回復への一歩になると思います。

試したいと思った技法の中から3つを書きます。

逆説的拡大視技法

否定的思考と格闘する代わりに、その否定的思考を大げさに考えます。(618ページより)

曝露反応妨害法でも使うやつですね。強迫観念を大げさに「もうぜんぶ汚れてしまった。取り返しがつかない」などと考えます。

私は不潔恐怖では大げさな考えが真実のようにも思えてしまいました。しかし、確認強迫では「もう一度ガスコンロを見ないと火事が起きてしまう」とまで考えると、次第に「そんなことあるわけないじゃない」という気持ちがわいてきました。

逆説的メリット・デメリット分析

否定的思考または否定的感情のメリットのみをリストアップします。<中略>次に「この態度や感情にこれだけのメリットがあるのだから、私はなぜこれを変えたいと思うのだろう?」と自問します。(620ページより)

動機づけの技法です。なぜ変わりたくないのか、治療したくないのかに使えます。現状維持のメリットを洗いだすことによって、自分がどうしたいかを見つめなおすことができます。

反先延ばし表

規模の大きな仕事を小さなステップに分解し、0%から100%の評価尺度で各ステップがどの程度困難でどのくらい満足をもたらすかを予想します。(621ページより)

実際の治療がどのくらい大変なものなのかを確認するのに使えます。曝露反応妨害法の不安階層表と合わせて、課題の困難さ・達成時の満足度予想を一緒につけると良さそうです。

『不安もパニックも、さようなら』の感想

ページ数の多さに圧倒されるとともに、物理的に分厚すぎて読みづらいという難点はあります。

でも、文章は読みやすいです。監訳者まえがきに「自分に必要な部分だけ、ワークブックとして用いるのも良し」と書いてあるとおりですね。

40の技法は、いくつも試したくなるものがありました。中には似通ったものやセットで使うのでは?というものもありますが、それでもこれだけ数があれば十分です。

強迫性障害の曝露反応妨害法は怖くてできないのがデメリットで、私も進められていない課題があります。

この本には不安や恐怖と直面するのではなく、周囲をくるくると回るような技法もあるのがいいと思いました。

まあ、曝露反応妨害法から逃げてばかりいてもダメなのですが…。治療に行き詰ったときに、ほかの技法もいろいろと試してみたいです。

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