『「敏感すぎる自分」を好きになれる本』の感想。HSPとはどういう人たちか

『「敏感すぎる自分」を好きになれる本』を読みました。

この本で取りあげている「HSP(Highly Sensitive Person=非常に敏感な人々)」と呼ばれる性質は、5人に1人いるそうです。

数年前にHSPという定義を知った時に気にはなっていました。が、診断テストをしたら、私は傾向はあるもののHSPというほどではなさそうでした。

でもまあ、5人に1人もいるなら自分がそうでなくても、どういう人たちなのか知っておこうかなと読むことにしました。

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『「敏感すぎる自分」を好きになれる本』の内容

ささいなことでドキッとする、ちょっとしたことに過敏に反応してしまう…。それは性格ではなく、性質のせいかもしれません。

何事にも敏感に反応しすぎてしまうのが、「HSP(Highly Sensitive Person=非常に敏感な人々)」と呼ばれる性質。ある調査では、生まれつき5人に1人がHSP性質だとわかっています。

HSPの人は周囲の出来事や環境の変化に過度に敏感に反応してしまうために、生きづらさを感じたり、周囲の人から誤解を受けることも多々あります。

本書では、日本におけるHSPの数少ない臨床医である著者がHSPの特徴を解説しながら「生きづらさ」を減らして生きていく具体的な方法を紹介します。

目次

  • 第1章 5人に1人いる“敏感すぎる人”たち
  • 第2章 過剰な敏感さが「生きづらさ」の原因だった
  • 第3章 敏感すぎる自分に振り回されずに生きるには
  • 第4章 敏感な人が陥りやすい15の「困ったこと」の対処法
  • 第5章 あなたの身近な人が「とても敏感な人」だったら

HSPの定義と特徴

HSPはアメリカの心理学者、エレイン・N・アーレン博士が自著『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』で提唱した概念で、医学的な概念としては認められていないそうです。

そもそも、5人に1人もいるものを特別な性質のように取り上げる必要があるのかな?という気もするのですが。

敏感さというのは人と比較しづらい部分でもあり、悩んでいる人にとってはカテゴライズされることが救いになるのかなと思いました。

とても敏感な人に共通する5つの特徴

  1. 刺激に敏感に反応する
  2. 人の影響を受けやすい
  3. 直観力があり、ひらめきが強い
  4. 慎重で、自分のペースで行動することを好む
  5. 内的生活を大事にする

この特徴を見ると、私は1、4、5が当てはまります。

子供のころだったらHSP、いえ、HSC(Highly Sensitive Child)といえたかもしれません。

大人になるにつれ、過敏で疲れやすい自分を自覚して人付き合いをセーブし、危ないと思ったら心の扉をさっと閉めるようになりました。

刺激に弱いとか慎重な自分は、そういうものだと許容できるようにもなりました。

が、体力がないというよりも心の体力(気力?)がなくて、予定を詰め込めないのは今でも辛いですね。人よりも人生の密度が薄いような無念さがあります。

私は睡眠時間も長いので、さらに人よりも人生で使える時間が短くて悲しいです。

HSPが悩まされる症状の一つに強迫症状もある

「第2章 過剰な敏感さが「生きづらさ」の原因だった」では、「敏感すぎる気質が引き起こす病気や症状」として、以下があげられていました。

  • 自律神経失調症
  • パニック発作
  • うつや躁うつ
  • 対人恐怖
  • 強迫症状

また、「第4章 敏感な人が陥りやすい15の「困ったこと」の対処法」では、「ミスが怖くて仕事に時間がかかる」というところで、強迫症状の説明が出ていました。

強迫症状の治療では、症状と正反対のことをあえてやらせ、強迫の回路を止めるのです。つまり、戸締りの確認をしない、あえて手を洗わないといった練習を繰り返し行なってもらうのです。

ミスを恐れるあまり、仕事が遅くなってしまう人には、この治療法を応用できます。

「チェックは3回まで」と自分の中できっぱりと決めて、線引きをし、それ以上はチェックしないのです。(173ページより)

強迫性障害にとってはおなじみの治療法ですが、「症状と正反対のことをあえてやる」というのは自分ではなかなか思いつかないので、参考になるのではないでしょうか。

生きづらさを抱えたままでいたいという「心理的逆転」に注意

HSPでも、治りたいと言いながら本音では治したくない「心理的逆転」があるそうです。

精神疾患などで病院を訪れる患者さんの中には、心理療法をいくら行っても効果が現れない方々もいます。

<中略>

効果が現れない原因が、心理療法自体にあるのではなく、患者さんたちの意識下にあることに気づいたのです。

<中略>

言葉とは裏腹のことを意識下で考えている状態を、「心理的逆転」といいます。生きづらさを抱えているHSPの場合であれば、口では「もっと楽に生きていきたい」と言っていても、心の奥底では「このままでいい」と思っている状況です。(116~117ページより)

動機づけ面接法で言う「両価性(アンビバレンス)」ですね。

参考記事
『医療スタッフのための 動機づけ面接法 逆引きMI学習帳』の感想。治す気がない場合はどうすればいいのか

生きづらいといっても、それまでの自分を変えるのは勇気がいります。

認知行動療法に興味を持つ人たちの中にも、やはり、認知を変えるなんて自分が自分でなくなるようで嫌だという人はいます。

そのあたりは、自分がどう生きたいかなので…変化を受け入れて治すか、今のまま治さないか、どちらを選ぶかはその人の選択ですね。

『「敏感すぎる自分」を好きになれる本』の感想

文章は読みやすく、さくさくと読めました。

HSPと名付けてしまうと障害や病気のようですが、困っていないのであれば特に気にする必要もないように思います。

反面、繊細であってはならないと自己否定していたり、どうしていいかわからないという人にとっては、ためになる本だと思いました。

強迫性障害の人でも、もともと神経過敏・神経質だという人はHSPの可能性もあるのではないでしょうか。

自分は人よりも敏感すぎて弱いと悩んでいる人におすすめです。

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