『自分でできる認知行動療法 うつ・パニック症・強迫症のやさしい治し方』の感想

『自分でできる認知行動療法 うつ・パニック症・強迫症のやさしい治し方』を読みました。

強迫性障害の本は分厚いものが多いです。この本は具合が悪いときに寝ながらでも読めそうだと思い、手に取ってみました。

Kindle版があり、書き込み用のワークシートはサイトからダウンロードできます。

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『自分でできる認知行動療法 うつ・パニック症・強迫症のやさしい治し方』の内容

自分にピッタリな方法が、必ず見つかる!疾患ごとに最適な療法を丁寧に解説

本書は、認知行動療法についての知識と、それをベースにしたセルフカウンセリングを紹介する本です。

「うつ病」「パニック症」「強迫症」に特化し、疾患ごとに最適なセルフカウンセリングの方法がわかります。

  1. PART 1 あなたのココロの病はどんなもの?
  2. PART 2 そもそも認知行動療法って何?
  3. PART 3 3つのココロの病に対する標準的な認知行動療法の流れを知ろう
  4. PART 4 セルフカウンセリングのすすめ

PART 1 あなたのココロの病はどんなもの?

うつ病、パニック症、強迫症のそれぞれの患者さんのケースと、簡単な自己チェック表がついています。

この章は診断済みの患者に向けてというよりも、学校や会社に本を置いておいて、手に取った人が「もしかして病気かも?」と気がつくための部分かと思います。

PART 2 そもそも認知行動療法って何?

認知行動療法がどういう治療法かという説明と、医学的な根拠やどのようにすれば受けられるのかが書かれています。

イギリスの治療ガイドラインでは、パニック症、強迫症、軽度のうつ病では認知行動療法が治療の第一選択として推奨されているそうです。

日本も早くそうなって欲しいですね。

「認知行動療法は自分でもできるの?」という疑問に対しては、「一人でもある程度効果が出せる」とあります。

もちろん重症だったり、すでにお医者さんにかかっている人は相談が必要でしょう。が、まだ病院に行くほどじゃないという人は、試してみてもいいと思います。

PART 3 3つのココロの病に対する標準的な認知行動療法の流れを知ろう

うつ病・パニック・強迫症のそれぞれで、どんな風にセッション(治療のための面談)が進められるのかが書かれています。

セッションの数は、どれも1回50分を3か月~1年かけて16回。どのくらいかかるかは、病院で受けるとなると混雑具合も関係してくるでしょう。

強迫症の治療の流れでは、イラストに「患者さんに無理強いはしないので安心してください!」というセリフがついています(笑)

いいなと思ったのは、患者さんにとって曝露反応妨害法が効果的かどうかの判断をする段階と、「曝露反応妨害法の実地への同意をもらう」ステップがあるところ。

ここでの主な目的は、患者さんにとって曝露反応妨害法が効果的かどうかを判断すること。強迫行為をしたあとじきにまた不安になるタイプは、すっきりするタイプよりも効果が高いとされています。(92ページより)

強迫性障害の患者さんは不安が強いので、曝露反応妨害法をして悪化しないか?もっとひどいことにならないか?と感じてしまうと思います。「あなたは効果的なタイプです」と言われれば安心できますし、やる気も上がりますよね。

ちなみに私は「強迫行為をしたあとじきにまた不安になるタイプ」だったので納得でした。

すっきりタイプのほうが軽症に思えますが、不安になるタイプのほうが曝露反応妨害法が効きやすいのですね。すっきりタイプは強迫行為を意味のあるものとしてしまい、治療に向かいづらいのかもしれません。

PART 4 セルフカウンセリングのすすめ

強迫症のセルフカウンセリングのステップは以下の通りです。

  1. 何が怖いのかを立ち止まって考えてみましょう
  2. どうしてこうなったのかを考えてみましょう
  3. やめられない原因を考えてみましょう
  4. あなたの悪循環を図にしてみましょう
  5. 不安に立ち向かい強迫行為をガマンする習慣をつけましょう(曝露反応妨害法)
  6. 心のエクササイズ『バク練』(曝露反応妨害法の練習)

強迫性障害への認知行動療法は曝露反応妨害法です。でも、曝露反応妨害法をやる気になるためには、それ以外の認知行動療法も必要だと思うのです。

それで最近、認知行動療法の本を読んでいるのですが。

この本のセルフカウンセリングは、「前準備」の部分が簡単ながらもしっかりと書かれていてよかったです。

「やめられない原因を考えてみましょう」では以下のように書かれていました。

“はかない安心”の代償が大きすぎることに気づきましょう

強迫行為を繰り返すうちに、1回で得られる安心がだんだん小さく(短く)なり、それとは逆に代償(強迫行為にかかる労力)はどんどん大きくなっていきます。

あなたが”はかない安心”を得るために払っている代償が大きすぎることに気づけば、セルフカウンセリングの効果が現れ始めます。(141ページより)

先ほど書いたように、私は強迫行為をしてもずーっと不安が続くタイプでした。

強迫行為=わりに合わない行動をしていることに気がついたときに、自分がおかしいのではないかと思い、強迫性障害だということに気がつきました。

まあ、そこから治るまでも長かったですが…。強迫行為が無駄だという不合理感があるだけでもよかったのでしょう。

『自分でできる認知行動療法 うつ・パニック症・強迫症のやさしい治し方』の感想

内容はだいたい、PART 1と2、3、4が1/3ずつです。章が変わったときのデザインがわかりにくいので、閉じたときに側面に見える色の高さを変えるなどの工夫が欲しかったです。

「うつ病」「パニック症」「強迫症」という3つの病気を取り上げているので、強迫性障害だけの人には余分があるように見えるかもしれません。

私は強迫性障害がひどかったときにはうつ状態にもなったので、うつ病の対処法が一緒に学べるのは良いと思いました。

うつ病のセルフカウンセリングにある自動思考や偏った考え方のクセ(スキーマ)への対処法や、パニック症のセルフカウンセリングにある身体感覚への対処法も、強迫性障害にも使えますね。

治療の流れとセルフカウンセリングは、簡単な説明でありながらとてもわかりやすいです。

薄くて軽いので手軽にパラパラと読めます。知識はさらっと読んであとは自分でやってみたいという人には、この薄さがかえっていいかもしれません。


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