強迫性障害で悩み苦しむのは患者だけではありません。巻き込まれている親、夫、妻といった家族や恋人も苦しみます。
でも、家族や周囲の人たちがどうすればいいのかは、あまり情報がありませんよね。
強迫性障害の本やサイトにも「本人の治す意志が必要」などと書かれていて、どうすればいいのかわからない家族も多いのではないでしょうか。
そこで、強迫性障害の本以外で、患者との関わり方やコミュニケーションに役立ちそうな本をまとめました。
※強迫性障害の本は以下の『図解 やさしくわかる強迫症』がおすすめです。
強迫性障害の本はこちらにまとめてあります。
強迫性障害におすすめの本5冊
依存症の人を治療に向かわせる CRAFTの本
依存症の患者に悩む家族のためのプログラム「CRAFT」の本。
イラストや図が多いうえに96ページと薄くて読みやすい本ですが、内容は大事なことがしっかり抑えられていて充実しています。
強迫性障害は依存症と似ているので、治療法や家族の関わり方も依存症のものを参考にされています。
家族は患者の行動を監視したり、症状の手助けや後始末をしたりしてしまいがち。
表紙の「コントロールできない相手をコントロールしようとしていませんか。」という言葉にドキッとしたら読んでみてください。
病気への巻き込みや共依存などに対して、どうすればいいのか解説されています。
対人援助の現場で使える 聴く・伝える・共感する技術 便利帖
介護や医療で働く人のための「傾聴の技術・伝える技術・共感の技術」の本です。
イラストや色分けが多用されていてわかりやすいです。
強迫性障害では、治療意欲がない患者には「動機づけ面接」という技術が使われることがあります。
それを取り入れたコミュニケーションの技術をやさしく実用的に解説してくれています。
また、家族が治療者のようになりすぎると、患者にとっての家族がいなくなってしまいます。治療の時間を区切るなどして注意しましょう。
やっぱり、それでいい。
強迫性障害の患者には「言いたいことをすべて伝えたい」という症状が出る人もいます。一方的に話を聞かされるのは辛いですよね。
『やっぱり、それでいい。』は、疲れない聞き方を教えてくれる本です。
細川貂々さんのコミックエッセイと精神科医・水島広子先生のコラムの組み合わせで読みやすいです。
読んでみると「え、それだけ?」という内容なので、値段に見合わないと思われるかもしれません。
それでもじわじわと売れ続けてきたのは、「それだけ」をできている人が少ないからでしょう。
私は本書を読んで親や恋人の愚痴や長話を聞くのが楽になりましたし、相手も話を切り上げるのが早くなりました。
話を聞く負担を減らしたい人におすすめです。
子どもの心を強くする すごい声かけ
タイトルに「子どもの心を強くする」とありますが、 大人にも使えます。
実例でさえも、声かけを見れば年齢にほとんど関係なく使えるのがすごいです。
強迫性障害を治すには、不安に耐えられる力を身につける必要があります。
心理学にもとづき、レジリエンス(立ち直れる力、逆境を乗り越える力)をはぐくむことを目標にしているので、不安でいっぱいの患者への声かけにぴったりです。
マンガでわかる ココロの不調回復 食べてうつぬけ
ここまで患者への関わり方の本を紹介してきましたが、残念ながらうまくいかないこともあると思います。
強迫性障害にアプローチできなければ、せめて生活習慣から整えたいですねという1冊です。
鉄欠乏が心の不調につながるという説のもとに、糖質制限で改善するための本です。
私は強迫性障害の悪化時にはまともな食事がとれなくなり、体調も悪くなりました。
栄養が足りないと脳の働きも悪くなり、治療に向き合うこともできません。
強迫観念がからんでいなければ、食事は改善しやすい部分。体調管理から支えるのも、ひとつの方法だと思います。
強迫性障害の家族におすすめの本まとめ
私が読んできた本の中に、家族にも参考になるものがあると思いまとめてみました。
特に『依存症の人を治療に向かわせる CRAFTの本』と『対人援助の現場で使える 聴く・伝える・共感する技術 便利帖』はおすすめです。
強迫性障害の患者と家族の関係は、強迫性障害と患者の関係に似ています。
どちらも自分ではコントロールできないものに苦しめられ、ぐるぐると悪循環の渦を回っています。
本を参考に、悪循環から一歩を踏み出す道が見つかることを願います。