強迫性障害になった当時、治療法を調べて薬物療法もあると知ったのですが、薬が効かない可能性が高いと思って飲む気になれませんでした。
また、病院や薬も恐怖対象だったため、病院で薬物療法を受けることができませんでした。
治ってきてから、薬も試してみればよかったかなという気持ちが出てきました。
強迫性障害は薬で治るのか
強迫性障害の薬の効果は、以下のような見解があります。
強迫性障害|疾患の詳細|専門的な情報|メンタルヘルス|厚生労働省
この中で薬物療法に関しては、従来、SSRIなど第一選択の抗うつ薬に中等度以上の反応性を示す患者さんの割合は約50%と考えられています。
薬物の力を借りて回復している場合、半分以上の人が、薬の中止後2~3か月で再発します。<中略>
なお、著者の経験では、3か月薬をやめても再発しなければ、半数くらいの人がそのまま回復に移行しています。薬物療法とERP(※曝露反応妨害法)を併用して回復している場合も薬の服用をやめると、やはり同様に再発します。
(『図解 やさしくわかる強迫性障害』140~141ページより)
合わせると、強迫性障害の薬物療法は半分くらいに効果が出て、薬をやめるとそのうちの半分以上は再発するということですね。
強迫性障害で悲観的な思考回路のときには、半分という数字が絶望的に低いように考えていました。
「薬物療法とERPを併用して回復している場合も薬の服用をやめると、やはり同様に再発します。」というのを見て、薬に意味はないとも感じていました。
いまになってみると「半分も効果が出るんじゃない」と思いますし、たとえ再発の可能性が高くても、曝露反応妨害法をするのが楽になったのではないかと思います。
私は自分だけで曝露反応妨害法をしたというのもあり、始めるのにも時間がかかったし、進行具合も遅かったので。
何よりも、薬だけで治って再発もしない人もいるのに、その可能性が目にはいっていなかったのはもったいなかったです。
私の強迫性障害は薬の効果が出やすかったかもしれない
また、薬が効きにくい要因が予想されています。
強迫性障害|疾患の詳細|専門的な情報|メンタルヘルス|厚生労働省
薬物療法に対する反応性の予測因子としては、
1)男性でとくに早発例
2)罹病期間が長期
3)対称性へのこだわり/儀式行為、物の溜めこみ、性的、宗教的などの純粋強迫観念などの強迫症状
4)症状に関する奇異な信念や魔術的思考の存在
5)全般性不安障害、あるいは全般性に特定される社交恐怖の併存
6)チック障害との関連性
7)統合失調型人格障害の併存などがあり、これらの要素を認めた場合はSSRIに対する抵抗性が予想されます。
……。
私、1個も当てはまらない。
女性で発症が遅いし、期間も病気に気がついた時点では短かったし、典型的な不潔恐怖と確認強迫で、たぶん全般性不安障害などもない。
薬の効果が出るのは約50%でも、私は効果が出にくいタイプには当てはまらないから、効果が出やすかったかも?
これを読んだとき、私には薬が効いたかもしれない、飲んでみればよかったかなと少し後悔しました。
当時の精神状態を考えると、やっぱり飲めなかったとも思いますし、過ぎたことを言っても仕方がないのですが。
あ、ちなみに上記のリストはあくまでも「薬=SSRIが効きにくい」です。
薬が効かないと諦めるのではなく、SSRI以外の薬や認知行動療法など、そのほかの治療法も視野に入れたいですね。
病院選びの記事はこちら。
強迫性障害の病院の探しかた。認知行動療法ができる病院を選ぶ
強迫性障害は受診するまでが長い
強迫性障害は受診するまでにかかる期間も平均3.7年と長いそうです。
OCD研究会で多賀千明先生らが2001年に行った調査によると、OCDの患者さん(45名)が、発症してから最初に精神科もしくは心療内科の専門医を受診するまでの期間は、平均3.7年でした。
おかしいと思いながらも学校や仕事には行けている、たんなる癖や自分でコントロールできる問題だと思いがちなのですよ。
病院に行っていない私が言うのもなんですけれど、つらいと思った時点で病院に行くことが大切ですね。
私の場合は一人暮らしのうえに自宅で仕事をしていて、強迫行為を好きなだけできる環境だったのがいけませんでした。
薄々おかしいと思っていたら急激にぐわっと悪くなって、気がついたら病院にも行けない状態でした。
強迫性障害が治るにつれて、冷静な判断や楽観的な考え方ができるようになりました。
はい、私はもともとは楽観的で「自分は運がいい」と思っているタイプなので…。いまでは、病院に行っていたらもっと早く治せたかも!と思います。
そんな私が、薬の効果が出るのは約50%なら効果が出ないも同じだと思い込んでいたのですから、つくづく強迫性障害は恐ろしい病気です。
強迫性障害の市販薬については以下の記事に書いてあります。
強迫性障害向きの市販の漢方薬。ストレスや不眠症にも