9月22日(金)に放送されたNHK『おはよう日本』に強迫性障害の患者さんが出ていました。
「けさのクローズアップ」というコーナーで、タイトルは「精神疾患 孤立する患者と家族」です。
番組の精神疾患のリストでは強迫性障害は3番目にあげられていたのに、アナウンサーさんが読み上げるときは飛ばされたのが気になりました(笑)
精神疾患 孤立する患者と家族|けさのクローズアップ|NHKニュース おはよう日本
高瀬「先月(8月)出版された1冊のマンガが反響を呼んでいます。」「子どもを殺してくださいという親たち」。
ショッキングなタイトルのこのマンガが描くのは、何年もひきこもり、ゴミに埋もれて暮らす女性や、包丁を振りかざして家族を脅す男性など。
精神疾患の患者と家族の苦悩を、実話をもとに伝えるこのマンガに、多くの反響が寄せられています。
原作者で精神疾患の患者を説得して医療機関へ連れて行く「移送」サービスの押川剛さんが出演されており、強迫性障害の患者さんを移送したときの映像が出ていました。
男性は18歳の時に「強迫性障害」を発症。適切な治療を受けないまま、10年以上、部屋にひきこもっていました。両親が息子の部屋に入るのは3年ぶりです。
押川剛さん「病院へ行くか。」
部屋に積まれたティッシュの山。汚れが取れないと強迫観念にかられ、ひたすら拭き続けたものです。
自分の体も、いくら洗っても汚れが取れないと不安になるため、風呂に入らなくなっていました。
男性(30代)「きれいにさせてください。」
押川剛さん「きれいにするより、あなたの命のほうが大事なんだから。そういうことは、気にするな。」
男性(30代)「お願いです。」
押川剛さん「乾いた(タオル)ちょうだい。」
体を拭いてあげながら、病院へ行くよう説得。男性を入院させることができました。
押川剛さん「かわいそうだな。」
このやりとりを見て、同じ不潔恐怖症の私としては複雑なものがありました。
「(体を)きれいにするより、あなたの命のほうが大事」というのは、ありがたいしもっともな言葉です。
でも、でも…。聖域である自分の部屋に知らない人がはいってきて、強迫行為をさせてもらえないで、胸が潰れそうだったでしょう。
体をタオルで拭かれても、きれいにしてもらっているというよりも汚されたように思うかもしれません。同時に、私だったら押川さんを汚してしまったと思うでしょう。
強迫性障害はそういう風に考えてしまう病気なのです。
しかし、「汚れてしまった」からこそ、守っていたものがぐちゃぐちゃになったからこそ、あきらめて外に出る気になれたのかもしれません。
私は押川さんの行動を否定したいわけではないです。医師ならこんな行動は取らないでしょうが、押川さんはとにかく男性を地獄から連れ出すことができました。すごいです。
なによりも、押川さんが男性に話しかける声には、救いたい、寄り添いたいという気持ちを感じました。
半年間、投薬治療と対人関係のトレーニングを受けた男性は、症状が改善。2年経った今、作業所で働けるまでに回復しています。
男性(30代)「孤立っていうか、閉じているところに人が入ってくれて、流れが初めて変わった。すごくありがたい、感謝。」
強迫性障害で引きこもると、本人はもちろん家族も悪循環から抜け出せなくなります。膠着してしまった状態に風を入れる人が必要だと思いました。
強迫性障害は放っておいても自然に治ることは少なく、逆にあっという間に悪化する病気です。テレビに出ていた男性のように、引きこもりになることも珍しくありません。
番組で紹介された漫画は『子どもを殺してくださいという親たち』ですが、この強迫性障害の男性は『子供の死を祈る親たち』に出ていた事例の人ではないかと思います。
私が読んだ感想は以下の記事に書いてあります。
『「子供を殺してください」という親たち』の感想。漫画化がコミックバンチwebで読める
『子供の死を祈る親たち』の感想。引きこもりに強迫性障害は多いのか?