『うつ消しごはん―タンパク質と鉄をたっぷり摂れば心と体はみるみる軽くなる!』を読みました。
私は前作『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった (光文社新書)』と藤川医師のブログを読んでいるので、新刊は読む必要ないかな?と思ったのですが。
ブログだと「あれはどの記事に書いてあったっけ?」と検索しなければならないのと、家族にも読んで欲しいので、まずは自分で読みました。
本当は前作のときから家族にもすすめたかったのですが、あまり本を読まない人に新書はハードルが高いと思いためらっていました。
『うつ消しごはん』は文字も大きく、適度なボリュームにまとめられています。これなら読んでもらえそうです。
『うつ消しごはん』の内容
だるい、重い、つらい……。あなたの日々の不調はストレスよりも「質的栄養失調」が原因だった!?
毎日の食事では何よりタンパク質と鉄が重要。そして糖質減。
薬に頼らず、うつを振り払う!
誰でも実践できる栄養療法メソッド!
メガビタミン療法(ATPセット)収録。
目次
- 第1章 うつ消しごはん――肉をたくさん食べなさい
- 第2章 うつ消しごはん――明るい食事の習慣術
- 第3章 うつ消しごはん――糖質と悪い脂質を減らす
- 第4章 メガビタミン療法のすすめ――ATPブーストセットがあなたを救う
- 第5章 栄養改善による症例集
内容は、前作と藤川医師のブログをわかりやすくまとめた感じです。
藤川 徳美医師のブログ
精神科医こてつ名誉院長のブログ
「こてつ名誉院長」は、藤川先生の愛犬のことかな?ちょくちょく添えられている写真がかわいくて、そちらも楽しみです。
『うつ消しごはん』の試し読み的な記事も3つ公開されています。
食事や栄養は薬と同じ
『うつ消しごはん』というタイトルを見て、食事なんかで治るはずがない!と思う人もいるかもしれません。
テレビやネットでも「この病気にはこの食べ物が効く」という情報はすごく多いですものね。
「うつ病にはバナナ」のように、試してもぜんぜん効果を感じなかった、いわば失敗体験が多いと信じられなくても無理はありません。
ええ、もちろん私もバナナを食べてみたし、効果は感じませんでしたよ。おいしいからちょっと気分がよくなる程度です。
ちなみに、バナナが効かない理由はこちらに書きました。
セロトニンを増やす食事は高タンパク質・糖質制限。鉄不足を解消するのが重要
『うつ消しごはん』の栄養療法は基本的なことで、セロトニンやドーパミンを増やすのに必要な栄養を摂ろうという話なのです。
心を落ち着かせる働きのあるセロトニン、喜びを感じさせるドーパミンなどの神経伝達物質はタンパク質が足りないと十分につくられないことから、心の状態にも大きな影響を与えています。(22ページより)
藤川先生は薬の効きも良くなるとおっしゃっており、症例では減薬をスムーズにしている様子も見られます。
私は病気になってから脳がおかしくなっている、なにか自分でも働きかけられないかな~と考えていましたし、自分の食事の栄養バランスにも自信がなかったので納得できました。
食事も薬も脳に働きかける意味では一緒だと思います。
「食事なんか」で良くなるかもしれないなら試してみて、効果がなかったら「やっぱりね」でいい。
今よりは健康的な食事になるし、損はないなと感じたのでやってみました。
私が『うつ消しごはん』を実践した効果
うつ消しごはんのポイントは以下の3つ。
- 高タンパク・低糖質食
- プロテイン
- サプリ
基本は高タンパク・低糖質食。まずは動物性タンパク質をしっかり摂る。
食事だけでは高タンパク質が難しいのでプロテイン。高タンパク質ができたら糖質を減らす。
さらに足りない栄養をサプリで補う。
ここをしっかり理解できていないと、「糖質制限?プロテインにサプリ?無理無理!」となってしまいます。
タンパク質を増やせば糖質を減らすのも辛くありません。卵やお肉でお腹が満たされるので、お米や麺類をたくさん食べる必要がなくなります。
私は今は病気というほどの不調ではないので、厚生労働省の摂取基準の範囲内で、「タンパク質と鉄をしっかり摂る」を心がけています。
1か月実践した時点での記事はこちら。
高タンパク質・糖質制限ダイエット1か月で2kg減。体が動くようになった
寝つきが良くなって朝型になり、だるさも消えて、だいぶ体調がよくなりました。
食事を整えるのは馴れるまではたいへんでしたし、買い出し、料理、食器洗いといった家事も増えます。
最初は無理じゃないかと思ったのですが、食事を改善するにつれて動けるようになったので、家事も苦でなくなりました。
食事だけでは十分な栄養量に届かないことがわかったので、プロテインやサプリも少しずつ追加しようと思っています。
栄養素の推奨量と耐容上限量の説明がない
『精神科医こてつ名誉院長のブログ』には「どういう治療選択をするかは、自身で考え、自身で判断のこと」と書いてあります。
私もおおいに参考にさせていただいていますが、サプリの過剰摂取などについては自分でも調べて、納得できる範囲で取り入れています。
本書で推奨されているサプリの量は、耐容上限量を超えているものもあります。
不足している状態から治すには多量が必要という判断なのでしょうが、その説明がほとんど無いのは残念です。
鉄過剰症については、これまで鉄過剰症になった患者がいないことや鉄の吸収システムについて書かれていましたが…。
推奨量のサプリを飲むには勇気がいると思いました。
ただ、私が認知行動療法をしたときに治療の大変さやリスクよりも治ることを選んだように、病気で苦しんでいる人にとってはリスクを承知で試したいものなのでしょう。
鉄タンパク質不足が原因と言い切るのは疑問
前著『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』のタイトルのように、あまりにも栄養不足が原因だと言い切ってしまうのは気になります。
日本人女性に鉄不足が多く、それがうつ・パニックの原因になっているとしたら、外国にくらべて患者が多かったり男女比が偏ったりしそうです。でも、そういうデータは掲載されていませんし、聞いたこともありません。
とはいえ、著者の診療で完治した人たちがいることから、実際に鉄タンパク質不足が原因な人たちも多いのでしょう。
何年も薬を飲んでも治らなかった人たちが、食事の改善とサプリで減薬・弾薬できた症例は心強いものがあります。
私も栄養療法のすばらしさを感じたからこそ、強すぎる表現で「トンデモ本」のように見られてしまうのはもったいないと感じました。
『うつ消しごはん』の感想
テキスト中心で少しの表と写真のみですが、文字が大きいので読みやすかったです。
内容は、ブログをよく読んでいればそんなに新しい発見はありません。
あ、「卵かけご飯はNG」はブログでは言及されていないかな?私は卵かけご飯を食べることが多かったので、書いていただいてよかったです。
ブログにはいろんな記事が混じっていますから、要点だけまとめて読めるのは便利でありがたいです。プロテインやサプリの摂り方など、過去記事と現在では進化している部分もありますし。
疑問点も書きましたが、私の体験としては藤川先生の方法を実践してから、あきらかに体調が良くなっています。
精神的な不調を感じていないときでも予防として続けていきたいですし、気力・体力をアップする方法として役立てられるものでした。鉄・タンパク質不足や糖質過多に心当たりがある人は試す価値があると思います。
日本では栄養不足というと野菜が足りない点に注目されがちです。
タンパク質と鉄=お肉も足りておらず、そのせいでの不調があることは知っておきたいですね。これを知っているかどうかで、人生が変わってしまう人もいるのではないでしょうか。
『うつ消しごはん』というタイトルですが、病気ではない人も健康の基礎知識として読んで欲しい本です。
【追記】
サプリとプロテインについても書きました。
ATPセットの量と栄養素の推奨量・耐容上限量の比較